Archive for the ‘弁護士勝俣豪の日常’ Category

修行の心

水曜日, 8月 29th, 2012
中国でもよく売れているらしいということで
稲森和夫氏の『生き方』
を読みました。

さすがに当代一流の経営者の書いたものですので
含蓄がありますが,宗教色があるため
どうしても,現世の欲に否定的になり
やや線香臭さがあります。

仏教的な欲の否定の発想は
若い頃から何度も考えてみましたが
未だになじみきれない部分があります。
(少なくとも自分の場合は,単に無気力になりそうで)

そのあたりは,この本でもちょこちょこ引用され
稲森氏も師事しているとされる
中村天風氏の発想のほうが
欲あっての人生という雰囲気があり
共感しやすいです。

また,同じく経営者の書いた本でも
色々スタンスがありますが,
藤田田(日本マクドナルド創業者)の
「金儲けの秘伝を教えてあげよう」
という怪気炎が一方の端だとすると
真っ正面から道徳を説く,本書は
逆の端の気がします。

さて,またもやと思うのは

苦難は修行だと思ってありがたく受け止めろ
というあたりです。

もう5年も前でしたら辛気くさくてやってられんと
思いましたが,
最近は私も,心がけるようにしています。

何年か前に朝日新聞の日曜版で偉人の言葉を紹介していたときに
森村市左衛門という人のそんな趣旨の言葉があって
少し感ずるところもあり
そのとき買ったばかりのタブレットのカメラでパシャッと写しておきました。

どちらかというと怪気炎系の本である
サイゼリア創業者の正垣泰彦氏も同じようなことを言っているので
まあ,そう思わんとやっていられないという現実もあるにしろ,
またもやとおもったわけです。

仕事上の苦難を修行と受け止めろというのは
禅的な発想だと思います。

以前,『逆説の日本史』で有名な井沢某さんが,
日本の経済的成功の要因は儒教でなく禅の考えだと書いていたのを読みました。

つまり,マックスウェーバーは,西欧における資本主義成立に重要な役割を果たしたのは
プロテスタントの勤勉性であると指摘したのは有名な話ですが,
日本の場合は,儒教が同じ役割を果たしたと言われています。
でも,儒教だったら中国や韓国も同じように発展したはずだから,
禅だという趣旨の話だったと思います。

仕事上の苦難を修行と受け止めて精進するという発想は
確かに産業発展の上では,大きかったのかも知れません。

以前,どうにも大変なことが続いていたときに,
ふと思い立って織田信長の不幸年表を作ってみたことがあります。
すごいことになります。
常人であれば,その不幸を後生大事に抱えて,呪いの人生を送りそうな
又は,可哀想な自分という甘い蜜に引きこもりそうな出来事
が,1年に何回も起こり, そんな年が何年も続きます。
そして,1年程平穏で,また何年も大変なことが続きます。
正直,それをみたときに,自分に起きている問題の些細さに
気づかされました。

大きなことに挑戦すればするほど,
どうにも大変なことが降りかかってくる 。
そうであれば,それは積極的に受け止める以外に
ないのですが,実際はなかなか大変です。
なんとか頑張っていこうと思います。

 
 

ロジカルなシンキング

木曜日, 8月 23rd, 2012
仕事に必要な本は,たいていアマゾン等のネット通販か
DMでの割引購入で買います。
でも,たまには,本屋でおっと思う本をみるものよいものです。
東京の日弁連の建物の地下1階には
本屋があって,色々,業務上,役に立つ本があるので,
たいてい,東京地裁・高裁に行ったついでに
よってみます。

そんなところ,荒井裕樹さんの
世界基準の論理力 武器としてのロジカルシンキング!

と言う本が目立ったところに平積みしてあります。

荒井さんは,司法修習のときに同じクラスですので,
(但し,あまり話したことはない)
やはり,今,何をしてどうしていて,何を考えているのかは
自ずと好奇心が沸きますので,買ってみました。

実は,以前にも似たようなタイトルの本を出していて
読んでみたら,少なくとも同じ時期に同じようなことをしていた立場でみると
なかなか刺激になることもあったので,
また,買ってみました。

弁護士仕事は辞めて,ファンドを立ち上げたり,
ファミリーオフィス事業をしているというような内容です。

司法修習卒業10周年で集まったときに
そんなような話を
しているのを聞いたのですが,
順調にお仕事をされているようです。

「俺は成功しているぞ!」
という類の話は,よい刺激になるので
楽しんで読むことができました。

論理力だロジカル・シンキングだというあたりは
法律が論理的とは思えない
リンク1 リンク2)(○○力に注意
私には,なんだかよく分からなかったのですが,
タイトルのような内容ではないので大丈夫です。

ますますのご活躍をお祈りしたいと思います。

 

4色ボールペンその2

月曜日, 8月 6th, 2012
さて,以前に4色ボールペンがすぐに壊れて
ドイツのLAMYというものを買ったと書きました

しかし,これも壊れました。
使い方が悪いのか,
そもそも4色ボールペンは構造が複雑でそういうものなのか
(プラスチックの簡単なものを除く)

懲りそうになりましたが,
次にロットリングのフォーインワンというものを買ってみました。

これはなかなか頑丈なようです。
1年近く壊れないままでした。
しかし,最近見あたりません。

たいてい,見あたらなくなっても数日すると
ひょいと出てくるのですが,なかなか出てきません。

そういうわけで,あらためて同じものを購入しました。
たまたま,前のが頑丈な個体だったのか,
構造上,頑丈なのか,
新しくきたものも,頑丈であることを願います。

もっとも,頑丈さ以外に,この手の4色ボールペンの問題は,
何色が出ているのか分かりにくいことです。

安いプラスチックのものだと,その色の棒を押し込めば
その色が出るので,間違えることがありません。

でも,それ以外だと,
その色のマークを上にして,てっぺんのボタンを押し込むとか,
くるりと回すとかで,
出したい色がでる確実性がありません。

ペンの先に,多少色がついていて見分けられることになっているのですが,
複数比べればわかるものの,単独だと,
何色がでいるのか自信をもてません。
黒で書こうとして,赤が出たことは,少なくありません。

そんなわけで,大事な書類を書くときは,ちゃんと黒が出ているか
試し書きをしてから利用するという面倒があります。

いっそ,シャーペンと黒ペンの2種程度のものが気楽かもと
思うこともありますが,しばらくは4色ペンを利用しそうです。

ハット

金曜日, 8月 3rd, 2012
今年の夏は、帽子をかぶっています。

そもそもの発端は、最近は加齢のせいか、
少し外で作業をしたり、
子守で公園にいたりしただけで、
頬の上部が、青黒くガサガサ日焼けすることがあり、
何か、不健康な感じがするので、
休日の外出用に、山道具屋で
木綿製のアメリカンな帽子を買いました。

ところが、なかなかこれが便利で
日差しが強いとき等、だいぶ、楽です。

そんな中、同年代の同業者が仕事の際も
帽子をかぶっていて、なかなか楽だという
話を聞いて、確かにそれはそうだと思いました。

朝のNHKのドラマは、だいたい見ているのですが、
最近は3話続けて、昭和初期あたりが舞台で
皆さん、スーツに帽子です。
そんなわけで、自分の中で見慣れてきています。

確かに、自分の世代は、ハットをかぶる習慣は
ほとんどないのですが、見渡すと年金世代や
若い世代はけっこうかぶっています。

また、最近はクールビズが当たり前になっています。
でも、どうにも、単にネクタイはずして、半そでワイシャツでは
東南アジアでバイクに乗っている人のようで、
仕事スタイルとしては、いまひとつです。
でも、いい加減、夏はネクタイをすると、吐き気がして
本当にモドソウカという程になるので、
やむなく、半そでワイシャツスタイルにしてますが、
もう一工夫ないかと思っていました。
たまに、記事等で、もう一工夫があったりしますが、
いまいちです。

こんなあたりの事情が、一気に作用して、
仕事用のパナマハットを買うことにしました。

ところが、店で大同小異のものを出してくれますが、
どれもいまいちです。
スーツではなく、ジャケットで、扇子パタパタという感じです。
上着を脱いで、半そでワイシャツでかぶったら、東南アジアバイク感が
さらにたかまるばかりです。

しかし、色々だしてもらっているうちに、ようやく全く雰囲気の違った
スーツに合うものを入手しました。
これなら、半そでワイシャツでネクタイ無しでも、
仕事スタイルとして、違和感がありません。

まだ、人に会ったときに、どうするのか(軽くはずのか等)
食い物屋でどこに置くのか
等、色々、悩ましいところもありますが、
今年の夏は、これでいこうと思います。

納豆きゅうり

木曜日, 8月 2nd, 2012
10日ほど、涼しい山小屋で夏休みを過ごして、
横浜に戻ってくると、
人間の住むところではない。
吐き気、吐き気
とか、頭の中に、恨み言がめぐります。

こう暑いと、何も食べる気が起こりませんが、
冷汁(ひやじる)という食べ物があります。

以前、宮崎県に旅行にいったときの
自宅土産に、冷汁なるもののレトルトパック
を買ったところ、気に入って、
自宅でもそれらしきものを作って食べるようになりました。

家で食べているものは、
ご飯に冷たい味噌汁を掛けたようなもので、
豆腐や、納豆、きゅうり、場合によっては
鯵あたりが具です。

私と妻は気に入っていて、
夏のあいだは、しょっちゅう、食べてもよいくらいですが、
何故か、子供の評判が悪く、
「納豆きゅうり、いやだ」と叫び
食べ終わるのに、えらく時間がかかり、
食べろとプレッシャーをかけるのも、
くそ暑い中、なかなか疲れるので、
食べる回数は、ほどほどになっています。

それにしても、この気候は何とかならないものか
と思いますが、ようやく慣れつつあります。

ハードワーク

火曜日, 6月 19th, 2012
ユニクロの柳井氏と並ぶ、現代の名経営者だと思う
日本電産の永守重信氏の
『「人を動かす人」になれ!-すぐやる、必ずやる、出来るまでやる』
を読みすすめています。

もともと永守さんには興味があったのですが、なんとなくアマゾンで
調べていたら本を書いていたので買ってみました。
軽めの本なので、遅読の私でも、いましばらくで、読み終わると思います。

タイトルにもある、
すぐやる、必ずやる、出来るまでやる
というのは、気合と執念がでる、よい言葉だと思います。

日本電産は徹底的にハードワークの文化のようです。
はじめに色々と叩き込むようです。
で、こういうヤツは駄目だと色々あるのですが、
私は、真っ先にダメということになりそうです。

そうそう、こうやって色々説教受けるうちに、
ドンドン気力が失われて、
居心地が悪くなって、
逃げたくなって、自分に自信がなくなって
さらにやる気のなさを、説教されて

と過去に何度か、あったパターンを思い出します。

成功したければ人の2倍しろ
という発想は、確かに、理屈ではそうなんです。
たいていのところ、才能の差よりも、
努力の差の方が、はるかに大きい。

でも、努力できるのも才能のうち
という負け犬の遠吠えも、
強い実感があります。

私自身は、
東京大学に入るのも
昔の司法試験に合格するのも
多分、そのときの合格者の中で
もっとも少ない勉強量で、乗り越えている可能性があります。

でも、どのように勉強するべきか
と考えることに当てた時間は、
おそらく一番多かったと思います。

ある種の努力のワナというものがあって、
今の努力ペースでは足りないという事実がでたときに
「もっと努力しなくては」という決意は
失敗に終わる可能性が高いと思います。

今程度の努力しか出来ない中で、
もっとも成功確率を高めるには
どうすればよいのか?
と考えるのが私のやり方なんだと思います。

既成の組織で、そういうことを唱えると
先輩と称する人たちから
屁理屈言うな、とばかりの説教攻撃を受けます。

でも、今は、幸いそういう呪縛からは逃れています。

そんなわけで、私が責任を持つ現在の組織については、
事務所の人が、プライベート等とのバランスをしっかりとれる
枠内でもっとも高い仕事上の成果をおさめるには、どうすればよいのか?
と考えなければならん、と思っています。

ということで、永守流のうち、ハードワークの文化については、
少しなじめないのですが、それ以外は、さすがと思う
記述が多々あり、楽しく読んでいます。

 
 

 

清盛 良くなってきました。

月曜日, 6月 18th, 2012
大河ドラマを見ていますが,清盛が良くなってきました。

当初から,中井貴一の平忠盛は,とても良かったのですが,
主人公については,いまひとつ,印象がつかみ切れませんでした。

でも,地位にともなって,肝が据わってきて,という最近の状況をみると
それ以前の,何とも言えない青臭さ,が生きてきている気がします。

清盛が甘ったれたことを抜かす重盛をたたき出すあたりは,なかなかです。
大河ドラマの主人公は,青臭いきれい事を言う主人公
のことが多く,強い違和感が残りることが多いです。

そういう大河ドラマ的なきれい事を,蹴り飛ばして睨み付けるようで,
今までとは違うぞ,という意気込みを感じます。

一時的に,毅然としたけど,やはり反省して優しい人になりましたとさ。
とか
そういう態度がたたって,平家は滅んだとさ。
という展開にならないことを祈っています。

またもやアミガサタケ

火曜日, 6月 12th, 2012
先日、山小屋に行き、散歩をしていると、道端にたくさんのアミガタサタケ
を発見しました。
例年、1本か2本なのですが、今年は両手にいっぱいのアミガサタケです。

また、ワラビも沢山、出てきていたので、おひたしにしました。

ということを書こうと思っていましたが、前にも書いたような気がします。
さかのぼってみると、去年も、その前も、ワラビとアミガサタケの話題を
書いています。

例年この時期は、山の恵みに感激しているということのようです。

同時に、よく2年も書いているなあ、と自分ながら感心しました。

この時期の山の中は、ちょうどズミの花が満開で(ということで、
今年はズミの実も沢山とれることを期待)、
ハルゼミのギェー、ギェー、ゲコゲコという鳴き声がやかましく、
秋と並んで、もっとも好きな季節です。

宅急便の誕生

土曜日, 5月 26th, 2012
小倉昌男『経営学』を読み終わりました。

書名からすると、学者が書いた経営学書のようですが、
クロネコヤマトの宅急便を作り上げた小倉昌男氏自身が
いかにして宅急便を築きあげたかという、本です。

印象的なのは、官僚との対決に向けての意思の強さです。
理不尽にコンニャローと思いながら、筋を通していく
というのは弁護士としては、ごく普通の態度です。

でも、経営者的な立場としては、どうしても
色々と妥協したり、目立たなく行動したくなるところがでます。

弁護士は、依頼者の意向に沿っていて
依頼者が見通しを了解していれば、
筋を通して戦うことはそれほど、難しくはありません。

でも、経営者の立場からすれば、全従業員の生活がかかっています。
筋を通すと言ったって、どうしても、無理はしにくいところがあります。

そこらあたりの悩みには、本書では触れられていませんが、
企業は存続しなければならす、そのためには倫理的でなければならない
トップだけでなく企業全体が倫理的でなければならない。

という強い信念があったから、ということだろうと思います。
通すべき筋を通さずに妥協するような会社は、倫理的とはいえず、
結局その場はしのげても、永続することはできない。
企業を存続させるためには、通す筋はきっちり通すということなのでしょう。
その裏には、不道徳になった会社を存続させるくらいなら、つぶすほうがまし、
という強い意志があるのだと思います。

このあたりは、とても共感できるところです。
当事務所の方針としては、事件処理はもとより、広告手法、料金体系、についても
キタナイことはしない、ということは徹底的にしているつもりです。
他がキタナイまねをしても、そんなまねはせずに、自分たちは勝ってやる。
という事務所の文化を作り、守ることの大切さを再確認しました。

他方で、経営上の「不合理な敵には徹底的に戦う」というスタイルについては
もっと頑張らないといけないのかもしれません。
弁護士会が、不合理としかいいようがない、変てこルール を色々もうけて
そのために、おかしなことが色々発生していますが、
世の中に不合理はつきもの、として、それを前提に業務をしています。
もう少し、面倒がらずに、抵抗してみてもよいのかもしれません。

 

双眼鏡2

木曜日, 5月 24th, 2012
ようやく双眼鏡を,山の中で試す機会がきました。
自意識過剰な世の中ですので,
街の中で双眼鏡をうかつに出すこともできません。
誰も,あんたのことなんて,みてないよ!
と言ったりしたら,さらに問題がややこしくなります。

やはり,人気のない山の中が一番です。
で,森の中をじっくり眺めてみますが,
これはなかなか楽しいです。

普段見慣れた森ですが,
ピントがあったところ以外はぼけていること
望遠による圧縮効果が働いて,
木々が妙に密集しているように見えたり
なだらかな斜面も急に見えたり。
だいぶ違った風に見えます。
また,カメラと違って双眼なので3Dです。

そして,再度,3種類の双眼鏡を比較です。

①安い高倍率ズーム双眼鏡
②安いズームなし双眼鏡
③高いズームなし双眼鏡

①と②③の差が,極端でした。
高いところにぶら下がっている,ドイツトウヒの
巨大な松ぼっくりを見上げてみると,
①は暗くてよく分かりませんが,②や③はくっきり見えます。
さらに,①は視野がとてもせまい。

そんなわけで,①しか持っていなかった状況からすると
大きな進歩です。

②と③は,昼下がりくらいの時間だと,明るさはあまり変わりません。
視野は,③のほうがやや広いことは確かです。

②は③のように,ボーッと森の中を眺めたくなるかというと
そうでもない気がします。

たいてい製品の価格に対する性能の向上は逓減します。
低価格帯では,価格が倍になれば,性能も倍になるとしても,
だんだん,1割の性能向上のために,価格が何倍にもなるのが通常です。
費用対効果がどうの,と騒ぐ場合は,そこら辺の感覚の問題なのだろうと思います。

さて,鳥を見るという挑戦については,
なかなか先は長いという実感です。
肉眼でみつけたものを,双眼鏡でとらえるのは意外に難しい。

何がどう区別して良いのかさっぱり分からないシジュウカラの類の
鳴き声の区別は,双眼鏡の助力を期待しています。
でも,双眼鏡でじっくり見ていると,さらに分けの分からない鳴き声の
レパートリーもあり,混乱が深まっています。