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職人仕事と顧客目線

土曜日, 7月 23rd, 2011
先日、とても有名な寿司屋に行ってきました。
時間がよかったのか、人間国宝のようなすし職人が我々のためだけに
寿司を作ってくれ、すばらしい時間でした。

とにかく20~30分ひたすら出された寿司を食べ、
それで終わりという店です。でも結構高い。

そんなわけで、インターネット上の評判では、絶賛する人と、
否定的に書く人が分かれています。

昔は、寿司というと、色々とうるさく言われそう、値段が分からない、
威張っているなんてイメージがありました。

そう、まるで弁護士みたいです。

でも、実は、自分の仕事に徹底的にこだわる職人仕事を、職人側からの視点でみると、
そういうことになると思います。
つまり、職人のこだわりと、顧客の要望は、真っ向からぶつかり合うと衝突するのではないかと思います。

そのため、普通のレストランでは、キッチンと、ホールは別れていて、シェフは接客しません。
こだわった料理にケチつけられたら激高して大変だが腕がよいシェフは、このような分業でなりたつと思います。

これは、他の仕事でも、職人的に作る人と、営業する人は分けられていて、営業する人が顧客と職人との間の
クッションになります。

そうすることで、職人は顧客対応に時間的にも精神的にも煩わされずに、よい仕事ができるし、
顧客側も要望を伝えることができます。

クッションがないと大変です。
今の弁護士の仕事の現状は、そういうところがあるのでしょう。
依頼者から見ると、威張っている、説明不足。連絡不足。
弁護士側からすると、よい仕事をするためには、とにかく自分が最高のパフォーマンスを
発揮できる仕事の仕方をしたい。
あれこれ、いわれてペースを乱されて、よい仕事をできなくなるのは
耐え難い。そういうやり方をしてほしいのであれば、他へ行ってくれ。
これは、弁護士の態度特有のものではなく、クッションがなければ、色々なところで生じうる話の気がします。

でも、寿司の世界も職人的なものは嫌われて、回転寿司がメジャーです。
値段が一緒でも、気難しい寿司屋より、回転寿司の方がよい人も大勢いると思います。
味の違いよりも、気分的な快適さが重要ということです。

弁護士の能力の違いなんて、寿司の味より差別化は困難です。
実際は、全然違うのですが、依頼者のほうで、比べて比較して、
というのは難しいからです。

でも、弁護士が他の職人と違うのは、対人的な説得のプロであるということです。
そうすると、依頼者との関係で、いかに振舞うかということが、その能力を示すので、
依頼者が、不満を覚えるような振る舞いをする時点で、能力的に疑問符がつく
という評価も可能です。

・・・・等、色々と他の世界での気高いプロフェッショナルに接すると、自分の仕事についても
色々と考えが進んで、とてもよいです。
高かったけど、それに見合う貴重な経験をできました。