弁護士の倫理研修
先日,弁護士会の倫理研修というものがありました。
だいたい5年ごとに強制的に受講です。
大学で倫理学を研究していた私に,倫理を研修してくれるとは
いったいどこのどなたでしょうか?
という話ではありません。
哲学者の倫理についての考えをご教示いただくのではなく,
弁護士実務の際,ルールの問題として悩ましい問題の研修です。
そうであれば,倫理等と大げさな名前をつけなければよいのですが,
一時期,弁護士が守るべきルールを弁護士倫理規定という名称で
成文化していたことがあるので,そういう名前の研修なのでしょう。
さて,今回のお題は弁護士報酬の決め方についてです。
つまり,法外な報酬を決めたらイカンということの研修ですが,
それだけでは「はいそうですね」で終わりですので,
実務上,決め方が難しい具体例を出して,それに対する
意見交換をするという内容です。
そしてポイントは,
①事件の着手金は経済的利益に応じて決める。
②しかし,依頼当初は経済的利益の把握が困難
なので,
依頼者が事件の見通しを納得してくれず多めに請求する場合や
見通しが大幅に異なって,わずかしからお金をとれなかったとき
どうするか といったことです。
でも,①はそうする必然性はありません。
単に,昔弁護士が守る必要があった弁護士報酬規定が
そういう形になっていたというだけで,報酬が自由化された現在では
着手金を経済的利益に応じて決める必要はありません。
でも①に固執する限りは,色々難しい問題が発生するということです。
当事務所では,着手金は基本的には経済的利益と無関係に
予想される手間の量に応じて決めますので,
今回の倫理研修で想定される悩ましい問題は無縁です。
(なお,当事務所でも報酬金は経済的利益に応じて決めます。
事件終了時は比較的経済的利益が分かりやすいし,成功を依頼者と分かち合うためです。)
それでも多くの事務所が惰性で,着手金を経済的利益に
応じて決めていますので,おかしなことが起こります。
たとえば,とりえず相手に慰謝料請求しようというときに,
200万請求ではじめると着手金は16万円
500万円の請求ではじめると着手金は34万円
なんていうのが旧報酬規定の考えです。
また,不動産がかかわる事件では,固定資産の評価証明なり
査定書なりなんなりがないと,弁護士費用が決められない
なんていうのも旧報酬規定ではよく困りました。
というわけで,今回の倫理研修は惰性で不合理な報酬規定を
利用している弁護士にだけ,有り難い講習だったということでした。
ただ,意見交換の中で,少なからず
「そういう場合は,手間の程度に応じて着手金を決める」
という意見もあったので,当事務所の決め方の正当性を確認できたのが収穫でした。
「そういう場合」に限らず,いつも手間に応じて決めればよいと思うのですが。
だいたい5年ごとに強制的に受講です。
大学で倫理学を研究していた私に,倫理を研修してくれるとは
いったいどこのどなたでしょうか?
という話ではありません。
哲学者の倫理についての考えをご教示いただくのではなく,
弁護士実務の際,ルールの問題として悩ましい問題の研修です。
そうであれば,倫理等と大げさな名前をつけなければよいのですが,
一時期,弁護士が守るべきルールを弁護士倫理規定という名称で
成文化していたことがあるので,そういう名前の研修なのでしょう。
さて,今回のお題は弁護士報酬の決め方についてです。
つまり,法外な報酬を決めたらイカンということの研修ですが,
それだけでは「はいそうですね」で終わりですので,
実務上,決め方が難しい具体例を出して,それに対する
意見交換をするという内容です。
そしてポイントは,
①事件の着手金は経済的利益に応じて決める。
②しかし,依頼当初は経済的利益の把握が困難
なので,
依頼者が事件の見通しを納得してくれず多めに請求する場合や
見通しが大幅に異なって,わずかしからお金をとれなかったとき
どうするか といったことです。
でも,①はそうする必然性はありません。
単に,昔弁護士が守る必要があった弁護士報酬規定が
そういう形になっていたというだけで,報酬が自由化された現在では
着手金を経済的利益に応じて決める必要はありません。
でも①に固執する限りは,色々難しい問題が発生するということです。
当事務所では,着手金は基本的には経済的利益と無関係に
予想される手間の量に応じて決めますので,
今回の倫理研修で想定される悩ましい問題は無縁です。
(なお,当事務所でも報酬金は経済的利益に応じて決めます。
事件終了時は比較的経済的利益が分かりやすいし,成功を依頼者と分かち合うためです。)
それでも多くの事務所が惰性で,着手金を経済的利益に
応じて決めていますので,おかしなことが起こります。
たとえば,とりえず相手に慰謝料請求しようというときに,
200万請求ではじめると着手金は16万円
500万円の請求ではじめると着手金は34万円
なんていうのが旧報酬規定の考えです。
また,不動産がかかわる事件では,固定資産の評価証明なり
査定書なりなんなりがないと,弁護士費用が決められない
なんていうのも旧報酬規定ではよく困りました。
というわけで,今回の倫理研修は惰性で不合理な報酬規定を
利用している弁護士にだけ,有り難い講習だったということでした。
ただ,意見交換の中で,少なからず
「そういう場合は,手間の程度に応じて着手金を決める」
という意見もあったので,当事務所の決め方の正当性を確認できたのが収穫でした。
「そういう場合」に限らず,いつも手間に応じて決めればよいと思うのですが。