自由と正義

7月 16th, 2010
弁護士には、毎月『自由と正義』という雑誌が

日弁連(日本弁護士連合会)から届きます。

雑誌の中身は、法制度や弁護士業界の動き等に関する記事が多いのですが

弁護士の懲戒に関する公示がされるので

大半の弁護士はそれをよく読んでいることと思います。


弁護士が懲戒に関する公示について気にするのには理由があります。

刑事犯罪や事件放置等、明らかな問題行為はともかく

依頼者のために頑張りすぎて限界を超えたとか

どっちの行いをしてもグレーと言わざるを得ない二律背反状況での行い等

線引きの難しい行為について懲戒になることもあるからです。


弁護士の懲戒は「品位を失うべき非行があったかどうか」
という曖昧な基準で判断されるので

『自由と正義』に掲載される具体的な事例をみながら

自分なりに基準をつかむしかないのです。


”人を処罰するときは法律と刑罰を予め定めなければならない”
という原則を「罪刑法定主義」と言います。

要は、「悪いことをした者は適宜処罰する」

というおおまかな法律だけ作って

具体的に、何が悪いことか?どのような刑を科するか?は

裁判官の裁量次第、というようなことは許されないという原則です。


しかし、弁護士の懲戒制度は

何が悪いことか?を事前に明らかにしていません。

明確な基準がないなかで

「品位を失うべき非行があった」
と判断されてしまえば、懲戒となってしまいます。


さらに弁護士の懲戒制度で困ったものだと思うのは

”業務停止”という制度です。

懲戒処分の大半は”戒告””業務停止”です。

なかでも”業務停止”になると

現在依頼を受けている事件もすべて辞めなければなりません。


つまり、たまたま懲戒になった弁護士に依頼していた依頼者は

自分に関係ない理由でいきなり事件を放り出されるわけです。


懲戒になった弁護士が不利益を被るのはともかく

懲戒とは何の関係もない依頼者が面倒を被るという

無責任で内向きな制度だと思います。


他の業界であれば”業務停止”の処分が下されても

”新規○○業務の停止”等、業務停止の内容を限定し

既存顧客に影響が出ないようにするでしょう。

しかし弁護士はそうはいかないのです。


弁護士の懲戒制度も、”除名””退会命令”等の強度の場合はともかく

頻繁に行われる”業務停止”については

既存の依頼者に迷惑をかけない制度にすべきだと思いますが

今のところ変化はないようです。


いずれにしろ、万が一にも依頼者に迷惑を掛けないよう

当事務所では内部規律の向上を心がけています。

社長の報酬

7月 14th, 2010
最近、社長の高額な報酬について話題になっています。


高いか安いかは色々考えがあると思いますが

私は、社長が高額な報酬をもらうことに賛成しています。


「頑張って勉強して、
人並み外れて仕事も頑張れば、
こんなに報酬がもらえるんだ」
「がんばったぶんだけ見返りはあるのだ」
という成功ストーリーは、必要なのではないかと思います。


ある研究所の調査結果

”日本人の子供は世界の子供に比べて
「偉くなりたい」と考えている子供の割合が極端に少ない”
というものがあるそうです。


日本の現状をみると、子供たちがそういった考え方になってしまうのは

ある意味仕方のないことかもしれません。


有名な野球選手やサッカー選手が

いくら高額な年俸もらっているとはいっても

大半の子供の進む道と無関係です。

勉強してよい学校に入って

よい会社に入って・・・という普通の努力の道の先に

今の生活からは想像できないような世界が待っている。

これは、子供が「頑張ろう」「偉くなろう」と思うためには

とても大切なことではないかと思います。


今まで、大企業の社長の高額年俸という成功ストーリーは

世間から隠されていました。

それが明らかになることは

長期的に見ると、とてもよいことだと思います。

弁護士同士が知り合い?

7月 13th, 2010
最近、神奈川県内に事務所がある弁護士の数が1000名を超えました。

同じ神奈川県内に事務所がある弁護士同士は

知り合いだったり親しかったりすることがあります。

そうすると

事件の相手方の弁護士が自分の親しい弁護士ということもあります。

依頼者としては

「相手の弁護士が知り合いだからといって
遠慮したり、適当にされてしまうのではないだろうか?」
と心配される方もいるかも知れません。

しかしそのような心配はご無用です。

私たちもプロの世界で仕事をしているのです。

イチロー選手と松坂選手が親しいからといって

対戦するときに手を抜くことがないのと一緒です。

むしろ、親しいからこそ真剣に勝負するのではないでしょうか。

私たちも同じです。相手に

「この程度か。だらしない!」

と思われるのは悔しいですから。

また相手が知り合いだと

少なくとも汚い手は使ってこないという信頼があるため

話し合いがスムーズに行くというメリットがあるかも知れません。

実際には、相手方が親しいと言うことはそれほど多くありませんが

(顔見知り程度のことはよくあります)

優秀そうな知り合いとは

「一度、やりあってみたいな。」

と思うことはあります。

暗記の方法

7月 9th, 2010
もう15年程前ですが、不動産鑑定士試験の2次試験を受験しました。

(もう制度が変わったので、同じ試験はないかも知れません。)

その受験科目の中で「鑑定理論」という、暗記科目がありました。

当時の受験指導によると

役所が作成した不動産鑑定評価基準及びその周辺文書を

いかに一語一区正確に再現できるかが勝負とのことでした。

というわけで、ひたすらその文書の暗記に励みました。

試験直前には、記憶の確認に早口で再生するのに10時間以上かかる程の内容を

一語一句正確に覚えた気がします。

昔のことなので、10時間という時間が正確かは分かりません。

でも、1日の勉強時間内では

すべて再生しきれなかった気がしています。

受験勉強の期間は3、4か月だったのですが

その3、4か月の間に、それだけの分量の文書をいかに暗記するか?

同じ試験に向けて勉強していた友人に

暗記の方法を聞いてみました。

人によっては、文書を映像として記憶していました。

このタイプの人は、覚えるのがとても早いです。

でも、内容を理解しないで覚えているとのことで

意外に忘れるのも早かったり、ぽっかり抜け落ちたりするようでした。

また、ひたすら書いて覚える人もいました。

この場合、手が覚えるようです。

私自身は、内容を理解し、その理解した内容を自分で再現してみて

もし覚えるべき内容と違っていたら

ニュアンスを含めた理解がずれたいたものとして

理解を直す、という作業をしました。

私以外にも同じタイプがいました。

この覚え方には

覚えるのが遅いが一度覚えると忘れにくいという特徴があると思います。

”究極の課題”が与えられると

人の能力の特徴が見えて面白かったです。

試験には無事に合格することができました。

でも不動産鑑定士試験は

2次試験後実務経験がないと資格にならないので

試験に合格しただけの私は

不動産鑑定士の資格を持っているとは言えません。

そして当時覚えた文書は、今となっては全く覚えていません。

でも、理解して覚えたので

何となく不動産鑑定がどんなものかの理解は

自分に残っていると思います。

「とも言われております」

7月 7th, 2010
例年,この時期にバス旅行に出掛けています。

今年は長野県へ行ってきました。




車中では、バスガイドさんが色々案内をしてくれるのですが

なかなかうまいなと思ったのは、ガイドさんの”言い回し”です。


「この地方は,○○が日本一とも言われております。」

「ここで採れる△△は,××に効くとも言われております。」

といった具合です。


「○○が日本一なんていったって

もしかしたら別の地域に抜かれているかも知れない。」

「医者でもないのに,本当に××に効くなんて言っていいのか?」

なんて意地悪な揚げ足取りを回避する絶妙な表現が

「・・・とも言われております。

です。


旅行にしている人にとっては

正確な情報ではなく、BGMとしての案内が欲しいだけですから

これでいいのです。


思い起こしてみれば、以前の旅行の時も

「・・・とも言われております。

という言い回しを使っていたような気がするので

もしかしたらこれはバスガイド界の定番表現なのかも知れません。



もっとも、いくら便利だからと言って

弁護士が法律相談で「・・・とも言われております。」というわけにはいかないでしょう。

ハナビラタケ

7月 5th, 2010
秋はまだまだ先ですが、山にはキノコが大分出てきているようです。

ということで、早速土曜日に、キノコ探しに出掛けました。


何の特徴もない一般的なキノコは、逆に何のキノコだが調べにくいですが

前回アミガサタケのように個性的なキノコは、比較的特定しやすいです。


今回も、変わった形のキノコを発見しました。



図鑑で調べてみると、ハナビラタケに間違いなさそうです。


ハナビラタケは、健康食品に多く使われているようで

インターネットで検索してみると

通販サイトがたくさん出てきました。


採取して持ち帰り、ベーコンと一緒にバター炒めにして食べてみました。

バターのせいか風味はよくわかりませんでしたが

歯ごたえはとてもよく、かなりいけます。


ハナビラタケは秋まで採れるそうなので、今後も楽しみです。


他にも、オオキツネタケらしきものも発見しました。



オオキツネタケは、食べられると書いてある本もありますが

人や動物の尿を栄養として発生するきのこだとのこと。

それを知ってしまったら食べる気が起きませんでした。


他にもいくつか個性的キノコをみつけましたが

なんだか分かりませんでした。


まだまだ勉強が必要です。

血液型

7月 2nd, 2010
血液型と性格に関係があると思っている人は多いようです。

10年以上前のことですが

野球では投手と野手では向き不向きが

性格で違うと耳にしたことがあったので

血液型との関連を調べてみようと思い立ったことがありました。

パラパラと選手名鑑をめくり

思いつく有名な選手を見ていきます。

すると、投手は圧倒的にA型が多く

野手は別の血液型(何だったか覚えていません)が多いようでした。

この結果、どうも血液型と関連がありそうです。

しかし、もう一度検証しようと思い

前年の打撃30傑と,投手30傑について

血液型を調べてみました。

すると、投手の血液型の比率は見事なまでに

野手の血液型の比率と同じでした。

つまり,血液型と野手か投手かにはほとんど関連がなさそうです。

この調査でおもしろいなぁ、と思ったことは

何か関連があるのでは?と

ランダムに見ていくと

関連がありそうに見えてしまったことです。

先入観に基づいてものを見ると

誤って判断してしまうこともあるということです。

今でもこの事は心に留めていて

仕事で証拠書類などを見るときは

先入観をもたずにできる限り冷静に分析しています。

当事務所の過払い金回収

7月 1st, 2010
「貸金業者から、返しすぎたお金を取り戻す」
これが、過払い金回収です。


当事務所の過払い金回収は、他の事務所とはひと味違います。


そもそも過払い金は、本来なら貸金業者が自主的に返すすべきものですが

実際には、弁護士が請求するなり

裁判を起こすなりしないとなかなか返してはもらえません。

過払い請求を受けた業者の対応は

貸金業者ごとに千差万別です。

ただ、ほとんどの貸金業者に共通して言えることは

はじめから全額返しますとは言わず

全額より少なめの金額を返しましょうと言ってくることです。


ここからは貸金業者ごとに

交渉をすれば全額返すのか?

訴訟を起こさないと返してこないのか?

訴訟を起こせばすぐ返してくるのか?

いたずらに訴訟を長引かせてずるずると結論を先延ばしにするのか?

などと対応が様々です。


そこで、過払い金を回収する際に重要になってくるのが

貸金業者ごとの和解ラインの情報を把握することです。

和解ラインを把握しておけば

無駄な交渉がなくなり、早期解決につながります。


当事務所は、多数の弁護士が所属し

さまざまな貸金業者に対して過払い金回収の実績があります。

蓄積された情報力により、よりスムーズに過払い金を回収することができます。

また当事務所では、弁護士自ら貸金業者と交渉します

この業者はこの程度という安易な交渉ではなく、

かなり強気に、少しでも多く返してもらうよう交渉します。

そして、その情報を事務所内で共有し

次回の交渉の材料にします。


ただ、これだけでは当事務所の過払い金回収が

ほかの事務所と違うとは言い切れません。

最近では、全額またはそれに近い金額を取り返すためには

訴訟をせざるを得ないものも増えていますので

今では過払い金回収のために、多くの弁護士が訴訟を起こしているからです。


では、情報力、弁護士による交渉、積極的な訴訟以外に当事務所は何が違うのでしょうか?

それは、依頼者に随時状況を報告し、入念に打合せを行った上で
方針を決定しているという点です。


合理的に仕事をするなら、全件訴訟、一律和解等がいいのかもしれません。

しかし当事務所では、過払い金回収についても

離婚や相続その他の依頼と同様に

依頼者とじゅうぶんに話し合い、

依頼者の意志を尊重しながら、慎重に処理をします。

当事務所では、過払い回収についても、全く同じです。


例えば金融業者が提示した金額と

裁判することによって返ってくるであろう金額に

5万円のずれがあった場合、

時間がかかっても、訴訟を起こしてでもきっちり返してほしい依頼者もいれば

少しくらい安くてもいいから早く返してほしい返してほしい依頼者もいます。

また、そもそも裁判を起こすなんて

なんだか物騒だからいやだなぁという価値観の依頼者もいるでしょう。

さらにはこの貸金業者には感謝しているから

ちょっとくらいなら金額が低くなってしまってもいいが

あの貸金業者は本当にひどかったから

耳を揃えてキッチリ返してもらうぞという依頼者もいるかもしれません。


当事務所では、このような依頼者ごとの意向をきちんと踏まえたうえで

最善の解決を目指しています。


当事務所の過払い金回収についてはこちらをご覧下さい。

ヤマモモ

6月 29th, 2010
少し前の記事に、モチノキヤマモモタブノキあたりの

見分けがつかないと書きました。

今日はその後日談?です。


先日、家の最寄り駅のロータリで

大量に実をつけている木をみつけました。

あれはヤマモモに違いない!

というわけで、取ってみて食べてみました。


甘酸っぱくて、なかなかおいしく食べられます。

上の息子にあげると、おいしいと言って食べ

今度は自分で木に登って実を取っていました。

下の娘は警戒して食べませんでんした。


ヤマモモの実を食べられることを誰も知らないのか

木の下には大量に落ちた実が散乱しています。

なんだかもったいない気もしますが

殺虫剤をまいている可能性もありますので

食べるのは1個だけにしておきます。




なお、先日ケヤキによく似た木のことも書きましたが

後日調べたところ、あれはやはりケヤキだったことが分かりました。

木を人工的に強く刈り込むと

葉が大きくなったり、垂れ下がるような特殊な形になるとのことです。

尊属と卑属

6月 25th, 2010
法律用語で「尊属」「卑属」という言葉があります。

「そんぞく」「ひぞく」と読みます。

尊属というのは、親や祖父母のことです。

卑属は、子や孫のことをいいます。


どちらも耳慣れない言葉だとは思いますが

ニュースなどで子が親を殺害したような事件で

尊属殺人」という言葉を聞いたことはないでしょうか?

この「尊属」はつまり親や祖父母のことです。


一方の「卑属」、子や孫のことは

漢字の意味から考えると「いやしい属」というのは

考えてみればすごい言葉です。


話は戻りますが

以前の尊属殺人を犯した場合の刑罰は死刑か無期懲役でした。

一昔の感覚からすると

”親殺しをする人間なんて人間じゃない!”
という位の感覚だったのでしょう。


ひるがえって最近は

親による子の虐待の方が、世間的な興味や関心もあり

弁護士会にも”子どもの権利”に関する活動をしている委員会もあります。

しかし”親を大切にしましょう”という運動をしている人がいるという話は

聞いたことがありません。


日本人は変わってしまったのでしょうか?

そのうち、尊属卑属の意味が入れ替わる日がくるのかもしれません・・・。