8月 30th, 2010
相続に関する法律は
『民法』に記載されています。
民法887条2項には、
”被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、
又は第891条の規定に該当し、
若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、
その者の子がこれを代襲して相続人となる。
ただし、被相続人の直系尊属でない者は、この限りでない。”
とあります。
つまり、亡くなった方に子供がいれば
子供には相続権がありますが(
887条1項)
子供がそれより前に亡くなっていたり、
”その子供の親に対する非行がひどいから”
などの理由で
子供が相続欠格や廃除に該当していたときは、
その孫に相続権があるということです。
「子供がそれより前に亡くなっていた場合」
については分かりやすいですが
「子供が相続欠格や廃除であった場合」
も、孫にその分の財産が行ってしまうということです。
これが妥当なのかどうかは意見が分かれると思いますが、
法律ではそうなっています。
このようなことを
「代襲」といいます。
”代わりに襲う”と書きますが
”襲う”というのはこの場合
”攻めかかって攻撃を加える”
という意味ではなく
”家系を受け継ぐ”
という意味です。
つまり
「代襲」とは
”代わりに相続する”という意味です。
なお
「相続放棄」の場合は
死亡や相続欠格とは違って
「代襲」になりません。
子供が
「相続放棄」したときは
孫にいかずに
第二順位の相続人である
親や兄弟が代わりに相続することになります。
相続問題については、当事務所のホームページの
こちらをご参照下さい。
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8月 26th, 2010
相続に関する法律は
『民法』に記載されています。
民法887条1項は
”被相続人の子は、相続人となる。”
と規定しています。
子供がいる場合は、必ず子供には相続権があるということです。
では、子供に財産をやりたくない場合はどうするか?
まず、遺言書を書くという手がありますが
子供には遺留分があります。
そうすると、子供が遺留分を請求してきた場合は
多少財産を渡さざるを得なくなります。
もし、財産を渡したくない理由が
”その子供の親に対する非行がひどいから”
という場合には
「
相続人の欠格事由(民法891条)」「
推定相続人の廃除(民法892条)」
という規定が使える可能性があります。
また
”事前に十分に財産をあげているからこれ以上やりたくない”
という場合は
「
特別受益者の相続分(民法903条)」という規定があります。
この規定は、基本的には、相続人間で遺産分割をする場合に利用する条文ですが
遺留分の計算の場合にも考慮されます。
そこで
”その子供に遺産をやらない”
という遺言を書いて
遺言書中にその理由として
”これこれの財産をやっているから”
ということも書いて、
できれば、
その財産をあげたことの証拠も遺言と一緒に保管しておく、
という段取りをふんで、遺留分の請求をふせぐというのも一つの手です。
相続問題については、当事務所のホームページの
こちらをご参照下さい。
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8月 24th, 2010
相続に関する法律は
『民法』に記載されています。
民法886条は次の通りです。
①胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
②前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。
お父さんが亡くなったときに
もしお母さんが妊娠していた場合、
お腹の中の子供にも相続権があるという規定です。
お父さんが多額の借金を背負っている場合、
赤ちゃんがその借金も相続することになりますので
注意が必要です。
相続放棄や
限定承認の手続をしっかりする必要があります。
一方、お父さんの財産を相続する場合は
赤ちゃんも含めて
遺産分割協議をするということになります。
この場合、赤ちゃんの「法定代理人」はお母さんです。
通常のことだったら、
赤ちゃんのことは法定代理人であるお母さんが代理で行うことが出来ますが
遺産分割協議になると
赤ちゃんとお母さんで遺産をどう分けるかという話になるので
赤ちゃんの権利をお母さんに委ねるのは問題になってしまいます。
そこで、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらうことになります。
けっこう面倒ですね。
こんな時のために
お父さんが
”自分の全財産は妻に相続させる”
という内容の遺言書を作成ておけば、面倒は防げます。
若い夫婦であっても、
万が一の時、トラブルを最小限に抑えるためには
遺言書はとても大切な役割を果たすのです。
相続問題については、当事務所のホームページの
こちらをご参照下さい。
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8月 20th, 2010
本日の
朝日新聞の社説は
「成年後見10年 連帯の支え手を広げよう」
との内容でした。
専門家に
成年後見を依頼したとしても
費用を払う財産のない場合はどうするか?
やる気のある市民に
ボランティアでやってもらう体制を築いていこうとう
趣旨のようです。
ただ、無報酬でも、責任は責任。
万が一、ミスがあったときには
責任を負わなければなりません。
このあたりについて
保険を整備するなり、法整備をするなりしたほうが
よいのではないかという気がしないでもないです。
現状は
高齢者の判断力がなくなっていても
成年後見人を選任せず、身内が事実上管理しているということが多いようです。
しかしこのやりかたでは
法律上、(身内とはいえ)人の財産を勝手に管理しているように
見られてしまう恐れもあります。
(高齢者に判断力がないとすると、依頼を受けているということはできません)。
そういう意味で、しっかり成年後見の手続をして
財産管理の権限を明確にしておいてほうがよいと思います。
成年後見制度については、当事務所のホームページの
こちらをご参照下さい。
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8月 19th, 2010
相続に関する法律は
『民法』に記載されています。
民法885条1項本文に
”
相続財産に関する費用は、その財産の中から、これを支弁する”
とあります。
ここでの
「費用」とは
典型的なものでいうと
不動産の固定資産税です。
死亡前の
固定資産税債務は
「相続債務」という扱いになるので、この条文の対象外です。
また、遺産分割が終わって、その不動産を誰かが相続した場合
それ以後の
固定資産税は相続した人の負担になるので
これもこの条文の対象外となります。
ここでの
「費用」とは
被相続人が死亡してから遺産分割までの間
の
固定資産税等のことをいうのです。
相続の対象となる不動産に
相続人の一人が住んでいるような場合は
使用貸借が成立しているとして居住権が認められる反面、
固定資産税等の通常の必要費を
その不動産に住んでいる相続人が負担するのが
筋ということもあるでしょう。
この条文が問題になるのは
相続の対象となる不動産を、相続人が誰も利用していない場合、
つまり
”死亡後遺産分割までの空き家の固定資産税の負担”
というのが典型的かも知れません。
この条文にからんで
葬儀費用を誰が負担するのか?
と議論になることもよくあります。
喪主が負担するのか、相続人全員で負担するのかと言う問題です。
これは、未解決の問題で
裁判になった場合も、裁判官次第でどちらの結論もありうる部分です。
相続問題については、当事務所のホームページの
こちらをご参照下さい。
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8月 18th, 2010
相続に関する法律は
『民法』に記載されています。
相続についての法律の一番はじめは
”
882条 相続は、死亡によって開始する”
という条文です。
当たり前と言えば当たり前ですが
民法には、こういう当たり前のことが実にたくさん書いてあります。
法律相談をしていると
「兄貴夫婦が親父に取り入って
人のいい親父は、兄貴夫婦の言いなりどんどん財産を使ってしまっている。
これでは、自分に対する相続財産が減ってしまうので
何とかできないか?」
というような相談は意外に多いです。
”
相続は、死亡によって開始する”と法律にありますので
相続権が発生するのは、あくまで死亡後のこと。
存命中に相続権を保護するために何かすることはできません。
”
お父さんが自分の財産をどう処分しようと勝手”というのが原則です。
このような事例では、相続開始後に
「特別受益」や
「遺留分侵害」の問題として考えていくことになります。
また、お父さんの判断能力が既に著しく減退しているような場合であれば
「法定後見制度(成年後見、保佐、補助)」を利用して
お父さんの財産を守ること
(あくまで、お父さんの財産を守るのであって
相続権を守るためのものではありません)
ができます。
相続問題については、当事務所のホームページの
こちらをご参照下さい。
法定後見制度については、当事務所のホームページの
こちらをご参照下さい。
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8月 12th, 2010
日曜夜7時半からの
NHKテレビ番組「ダーウィンが来た!」
は、子供が好きなので、よく見ています。
それにしても、動物も争いごとは好きですね。
なわばりや食料やメスを巡って、同じ動物の中で
色々と喧嘩して闘います。
それなりに勝敗を巡る仕組みがあるのか、
適当なところで勝ち負けが決まり、負けた方は退散します。
人間にとっての謝罪も、そういう仕組みなのかな
と思うことがあります。
道徳的・法律的な善悪はともかく
、謝罪があることで
相手の怒りが収まり、動物的な戦闘モードが終了する
のかも知れません。
弁護士としては、医者が「世の中を健康にしたい!」
と思うように、
「争いごとをなくしたい!」という
気持ちがあります。
でも、ダーウィンで見る動物たちの争いごとをやめさせる
というのは、どうみても愚かです。
争いごとも人間社会の仕組みのひとつとして、
上手に付き合っていく以外にないのかも知れません。
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8月 10th, 2010
フリーペーパーのR25に
「日本のは世界一リスクが高い?『連帯保証人』制度のギモン」
との表題で記事がありました。
概略は
政府が連帯保証人制度をみなおし、
連帯保証人に対して
契約内容や債務者の資金繰り情報についての
説明義務をもうけるといった内容。
実際のところ、債務整理をしていて、最もやっかいなのは連帯保証です。
もちろん、連帯保証人になってしまった人もかわいそうですが
「連帯保証人に迷惑がかかるから、自己破産はできない」
と言って無理を重ねる方も多くいます。
実際、連帯保証人をつけてまで融資を受けてしまうことは
自己破産というとても便利な逃げ道をふさぐことになりかねません。
通常の消費者金融は連帯保証人をとることは少ないです。
株式会社エイワくらいではないでしょうか?
でも、他の消費者金融も
家族の名前を契約書に書かせて
連帯保証しているかのように誤信させて
債務整理を躊躇させているフシはあります。
(連帯保証人が印を押さない限り、
勝手に名前を書いただけで、
連帯保証人にされてしまうことはないです。)
連帯保証人をとる典型は
いわゆる商工ローン(SFCG(旧商工ファンド)や
ロプロ(旧日栄)等)と信用保証協会です。
商工ローンはともかく
債務者救済を、
公的な金融機関である
信用保証協会がジャマをしていることが多い現状に
強いギモンを感じます。
しかし今や
商工ローンの多くは倒産し、
信用保証協会もようやく連帯保証人を要求することをやめたようです。
そういう意味では多少自体は改善しているかも知れません。
それ以外に、気の毒だと思うのは
連帯保証人が死亡した場合の相続人です。
連帯保証も相続の対象となるのです。
「父親が連帯保証人になっていたことを
父親の死後はじめて知った。
気づいたら巨額の債務の連帯保証人になっていてしまった」
という相談も少なくありません。
話は少しそれますが
”
連帯保証”と”
保証”はえらく違うんだ!
と法律の教科書に書いてあることを思い出しました。
でも実際上、
連帯保証でないただの
保証はマレです。
しかも、ただの
保証人にはあるが
連帯保証人にはない
催告の抗弁権(まず主債務者に請求せよと言える)
や
検索の抗弁権(主債務者に財産があるぞと言える)
なんて
それほど役に立つとは思えないので
”
連帯保証”かただの”
保証”かはそれほどこだわる必要はありません。
ただし、
保証人が複数いる場合は
ただの
保証だと頭割りにできるという大きなメリットがあります。
連帯保証や
保証でお困りの方は
一度ご相談にいらしてみてください。
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8月 8th, 2010
NIKKEIプラス1(日本経済新聞の土曜版生活情報週間紙)に
「お金の悩み、無料相談会 活用」
「解決手順を専門家が助言」
との記事がありました。
高齢者の財産管理や借金整理、相続・遺言、雇用・仕事等についての
無料相談会の一覧が記載されていました。
このような相談会は時間制限があり
相談の途中でも時間がくれば
話を切り上げられてしまうこともありますので
相談したいことをしっかりまとめてから
相談に行くのが良いと思います。
当事務所でも、案件により無料相談を行っています。
借金整理相談については
初回30分無料です。また電話での無料相談もしています。
また
遺言書作成相談についても
初回30分無料です。
「自分で書いた遺言書の文面が不安」
「そもそもどうやって遺言書を書けばいいのか分からない」
などの場合には
ご相談にお越しいただければアドバイスをいたします。
”30分無料”と聞くと
いつの間にか制限時間を過ぎてしまって
延長料金がかかるような印象をお持ちの方もいるかも知れません。
しかし当事務所では、相談を始める前に必ず
「無料の範囲内(30分以内)での相談をご希望か」
を確認しますので
いつの間にか時間を過ぎてお金がかかってしまった!
ということはありません。
安心してご相談下さい。
話が前後しましたが
冒頭でご紹介した無料相談会について、私見を書きたいと思います。
相談内容によっては複数の相談先が紹介されていました。
どんな相談を、どこに相談するのが適切なのでしょうか?
雇用・仕事については
弁護士、
司法書士、
社会保険労務士の3つの相談先があります。
トラブル含み(残業代を払わない、不当な解雇だ 等)の場合は
弁護士がよいと思います。
細かな社会保険関係の話であれば、
社会保険労務士。
弁護士費用を聞いて
「それでは割にあわない」と思ったら
比較的費用が割安な
司法書士に相談してみても良いかもしれません。
借金については、
弁護士と
司法書士の2つがありますが
これについては
弁護士に相談するのが一番良いのではないかと思います。
費用面では、
弁護士でも
司法書士でも大差はないようなので
どちらに依頼してもいいような気もしますが
借金整理での
弁護士と
司法書士の一番の差は
司法書士の場合、
基本的に自分で裁判手続をしなければなりませんが
弁護士の場合は
裁判手続含めすべてを
弁護士に任せられるという点です。
司法書士は、
破産・個人再生や多額の過払い回収の場合
後ろでアドバイスする立場に引かざるを得ませんが
弁護士にはそのような制限がないからです。
成年後見等、高齢者の財産管理の相談先には
司法書士と
行政書士があります。
どちらかといえば
司法書士のほうがよいでしょう。
ただ、これも本当は
弁護士に相談するのが良い分野です。
弁護士によっては、成年後見等の取扱いをしていない
弁護士もいますので
ホームページなどで取扱分野を確認したほうが良いと思います。
相続・遺言については、
公証人と
司法書士です。
相続問題は、揉め事がなく、不動産がある場合は
司法書士に相談。
揉め事がなく、財産が多額な場合は
税理士に相談。
揉めている場合は
弁護士に相談というのが基本です。
遺言書作成は
公正証書遺言をつくるのであれば、
公証人に相談。
自筆証書遺言か公正証書遺言か等
入り口の段階から相談したい場合で
揉め事がなさそうなら
司法書士。
将来、揉め事が起こりそうだ、
その前に出来る限り事前に手を打った遺言をつくりたい、
といった場合は
弁護士が適任です。
何かお困りごとができたとき、お役に立てば幸いです。
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7月 29th, 2010
先日、テレビ東京
「ガイアの夜明け」で
遺言書作成に関する話題を取り上げていました。
「骨肉の争いを避ける術~いま知っておきたい”相続”」
近年、相続争いは増加傾向にあり
家庭裁判所の相続案件の取扱件数は
2009年で16万件、10年前の2倍だそうです。
(司法統計年報調べ)
”相続争い”と聞くと
”お金持ちの家で起こること”と思われがちですが
実際にはそうとも言えず
遺産総額1000万円未満の相続争いが多く
最も多いのは200万円から300万円程度のものだそうです。
そんななか、最近では、自分で遺言書を簡単に作れる
「遺言書作成キット」
なども話題になっているようです。
遺言書は自分で書くこともできますが
日常ではあまり使われない法律用語を使って作成するなど、
法的なルールを守らないと無効になってしまいます。
せっかく遺言書を作成しても
無効になってしまっては意味がありません。
遺言書は、
無用なトラブルを防ぐためにも
専門家のアドバイスを参考に
公的に認められる正確なものを作成することをおすすめします。
当事務所では
「遺言書作成無料相談」を行っております。
また、事務所で出向くことができない方のために
弁護士が直接病院やご自宅へうかがってご相談に回答する
「遺言書作成出張相談」も行っております。
遺言書作成をお考えの方は、ぜひご利用ください。
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