9月 16th, 2011
約束事を書面にするとしても,通常は約束事以外のことも書きます。
書面の題名,日付,当事者の署名等です。
今日は契約書の題名について書きます。
契約書の題名は,日付や当事者の署名に比べると
重要性は低いです。
極端な話,なくても決定的ではないです。
でも,実際書面を作るとなると,一番はじめに書くので
「いったいなんと書けばよいのか」と真っ先に,気になって
聞きたくなる部分です。
通常は,契約書,○○契約書,合意書,念書,覚え書
なんて書きますが,どの表題を使ってもそれほど差はありません。
ですから,面倒な場合は契約書と書いておけばあまり間違いはありません。
意味があるとしたら,書面の全体的な信用性に影響が出ることがあるということです。
たとえば,何も題名がなく,契約内容だけが書いてある場合
「これは,正式な契約ではなく,草稿にすぎない。だから,題名がないんだ」
とかいう言い分がでかねません。
もちろん,そのような言い分が通るかどうかは,他の諸々の事情次第ですが,
いずれにしろ,せっかく書面にしたのに,ゴタゴタするのではがっかりです。
そういう意味では,題名は書いておいた方がよいことはよいです。
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9月 14th, 2011
「約束したけど,守るつもりはない」とは言わせないのが,
契約のルールだと言いました。
でも,実際に多いのはむしろ「そんな約束をした覚えはない」
という話です。
法律上は,約束は口約束でも契約書にしても,「約束は守らなければならない」
ということで一緒なのですが,「そんな約束はした覚えはない」
と言わせないための証拠として,契約書が大切になってきます。
証拠に使うという面では,紙切れにでも書いておけば,
弁護士に頼んで契約書を作ってもらう場合や,
公正証書で契約した場合と,本来は一緒です。
でも,実際の裁判の場だと,本人同士で作った
約束事等が書いてある書面は,なんだかんだ
理屈をつけて効力が否定されてしまうことも
少なくありません。
実際のところ,ただの個人同士でわざわざ
約束事を書面にすることはマレなのに
書面ができているということは
どちらかが一方的に強かったのではないかとか
何かごまかしがあったのではないか
動転していて真意ではないのではないか
とか,裁判官はみているようです。
でも,そもそも書面がなかったら,
「そんな約束をした覚えはない」
と言われてしまったら,難しくなることが多いです。
今の民事の裁判では,書面がないと立証したことには
ならない面があるからです。
つまり書面がないと立証が難しい。
書面があっても,素人書面だと効力が認められないこともある
というのが実情です。
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9月 13th, 2011
当事務所では,裁判所から選任される破産管財人業務もしています。
破産管財人になると,破産者宛の郵便物が転送されてきます。
財産隠しや債権者の漏れがないか等をチェックするためです。
その転送郵便物の中に,ヤミ金からのDMが混じります。
破産すると官報に住所と名前が出ますので,ヤミ金が破産者に
勧誘のDMを送るのです。
破産管財人がつかない簡単な破産手続きで終わる場合は,ヤミ金からのDM
は破産者本人のもとに行きますので,当事務所で破産申し立ての依頼を受けた場合は
そのようなDMが行くので,注意するよう話します。
さて,昨日,見慣れたヤミ金DMと思われるDMが破産者宛ではなく当事務所宛に来ました。
そして,今日も,別の業者からもう1通。
今まで, ある程度の大手貸金業者からのDMは見たことがありましたが,
聞いたことのない貸金業者からのDMは初めてだと思います。
いやーびっくりです。
弁護士宛に,このようなDMが来るということは,
このようなDMを見て,借りる弁護士が相当程度いる可能性があります。
弁護士激増と,法律事務の需要の急減によって,法律事務所の経営が
苦しくなっているという話はよく耳にしますが,
まさか,このような業者に手を出すほどになっているとしたら大変な事態です。
弁護士を増やして競争させるという今の司法改革の方向については
色々議論があるところですが,
弁護士業というのは社会のインフラという側面があります。
弁護士業界全体が,社会の信頼を失ったときに,結局一番困るのは
法的な紛争解決手段を利用できなくなる国民です。
これは銀行業界を競争させつつも,銀行業界全体が
信用を失うと大変なことになるので,社会的なインフラとして
その信用維持に制度的に配慮しているのと同じことです。
ヤミ金に首ねっこ捕まれている弁護士が,自治体や法テラスや
弁護士会の相談で,法律相談しているという状況が現れつつあるの
かも知れません。
銀行の場合は破綻した場合に,利用者に大きな被害が出ないような
仕組みがありますが,弁護士についてもただ競争させるだけでなく
競争による経済的破綻に対して,依頼者が被害を受けない制度が
必要なのではないかと思います。
上記のDMが弁護士業界をターゲットにしたものではなく,登記されている法人すべてに
一斉に送られたものであると信じたいものです。
なお,当事務所は銀行融資も受けておらず無借金経営ですので
安心してご利用ください。
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9月 9th, 2011
当事務所では,
①わかりやすいこと
②内容が充実していること
をコンセプトに,昨年7月に離婚法律ガイド,今年1月に相続法律ガイド
という専門サイトを作成し,とても好評なようです。
このたび,同くわかりやすさと,内容の充実にこだわった
『交通事故法律ガイド~横浜の弁護士』
が完成しました。
交通事故のサイトについては,離婚や相続に比べて充実したサイトも多いようです。
そこで,交通事故法律ガイドでは,
最近多い自転車事故の問題や,難しい問題も多い無保険車との事故の問題
刑事責任に関する問題や,過失がある場合の本人負担と保険負担の割合等
他の交通事故サイトでは,あまり解説されていない問題についても
意識して説明するようにしてみました。
当事務所での交通事故事件に対するスタンスは
脱マニュアル主義です。
交通事故については,いわゆる赤い本等のマニュアル類が充実しており
あまり慣れていない弁護士でも一通りのことができるようになっています。
しかし反面で,そのようなマニュアルを絶対視したり,
またはマニュアルを超えたことをするのを面倒がったりする
悪弊も同時にみられます。
もちろん,当事務所も実際の実務の運用をふまえて
交渉・訴訟をします。それが最適なことが多いからです。
でも,マニュアル通りの結論では納得いかないという場合,
実務の運用根拠をふまえた上で,個別の事案に即した
最適な解決を目指すよう心がけています。
もし,当事務所以外の法律相談で,赤い本や青い本や緑の本を
片手に持った弁護士から,「それは難しいですね」と言われて
納得できない場合,一度,当事務所に相談してみてください。
同じように「それは難しいですね」という答えになるかも知れませんが,
単にマニュアルからすると難しいというのではなく,マニュアルから
離れて考えても難しいかどうかも検討した上で,見通しをお話ししたいと思います。
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9月 8th, 2011
前回,「万引きをする」というような違法な約束は無効になると書きました。
違法というのは,万引きのように犯罪になる場合だけでなく,
民事の規定上,無効になる場合もあります。
たいていは,弱者保護という観点から決められています。
契約自由と言って,基本的にはどんな約束をしようが自由で
約束した以上は,国家権力が約束を守らせるという
ルールなのですが,強い立場の人が弱い立場の人に
一方的に不利な契約を押しつけて,
ひどい目に会う人が出てきてしまう場合があります。
そこで,あらかじめ,こういう約束は無効だよと決めておいてあります。
典型的なのは利息の上限です。
契約自由の建前からすれば,10日で2割というような
高額の利息の約束でも守らなければなりません。
そして,お金に困っている人は,思わず目の前のお金欲しさ
にそのような高額の利息の約束をしてしまいがちです。
そこで,利息制限法という法律で,利息の上限を決めて,
高額の利息の約束をしても無効ということにしています。
つまり,利息制限法を超える高利の約束をしても,
裁判所はそんな金利は認めませんということです。
なお,10日で2割というような法外な高利は,
そもそもまともな貸し付けでないとして,元金の返済義務
がなくなることもあります。
そのほかにも,借地借家法や消費者契約法で
弱者を保護するために,借家人や消費者側に不利な
一定の約束は無効になるようになっています。
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9月 6th, 2011
「約束を守らない」とは言わせない,国が強制力を使って守らせる
というのが約束・契約に関する法律の仕組みと書きました。
ただ,もちろん例外があります。
「この石ころを金塊にしてみせる」と約束しても,
そんなことは無理な約束です。
ですから,そのような契約は不可能を目的とする契約として無効になります。
法的措置をとっても,石ころを金塊にする約束を守らせることはできません。
もっとも,それが詐欺話だった場合は,別途損害賠償等はできるでしょう。
また,「万引きしてきます」という違法目的の約束も無効です。
国家権力が違法な約束を強制的に守らせるというのは変な話です。
ですから,そのような約束に強制力はなく,
「約束したけど,守りません」と言っても,特に問題がないことになります。
仮に,「約束したのだから万引きしろ」とうるさく要求してきて困り果てて
弁護士に相談した場合,弁護士は
「そのような違法な約束は法的に無効であり, 守る義務はありません」
と回答することになります。
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9月 5th, 2011
法律用語で,契約というのはとても大事な概念です。
でも,その意味するところは,約束と概ね同じです。
「契約を守れ」というのと「約束を守れ」というのは
だいたい,同じです。
よく弁護士の文書や何かで,法的措置云々と書きますが,
要は,裁判所の力を使って,無理矢理でも実行するぞ
ということです。
そんなわけで,約束・契約も,法的措置によって強制できる,
つまり,国家権力である裁判所の力で強制的に守らせることができます。
「確かに約束したけど,守るつもりはない」ということを許容しない
これを国が保証しているということです。
しばらく,そんな契約に関することを書いていこうと思います。
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8月 30th, 2011
株式会社SFコーポレーション
が破産になりました。
これにより過払い金については,通常の回収方法ではなく,
破産手続きと配当に委ねられることになります。
SFコーポレーションは三和ファイナンスという商号だった頃から,
過払いの回収に手間がかかる業者でした。
そのような事情から,過払い金債権者による破産申し立て等もありました。
そのときに,破産を何とか避けようとしていたので,
破産をできない事情でもあるのかな,と思っていましたが,
結局破産してしまいました。
破産手続きの中で興味がある点が二つあります。
一つは,取引履歴の消去との関係です。
SFコーポレーションは,10年程度分の取引履歴しか出さずに,
それ以前は抹消したと主張してきます。
これが本当なのかどうか,しっかりチェックし,それが虚偽であった場合は
しかるべき対応をとってもらいたいと思います。
もう一つは,武富士と同じように潜在的な過払い債権者に対して
一斉に,通知を出すのかどうかです。
多重債務に陥る場合,武富士やアコム等の大手から借りている人は
大手ばかりから借りていることが多く,
SFコーポのような準大手から借りている人は,準大手から借りていること
が多いという傾向があります。
そこで,武富士の一斉通知を受けなかったが,準大手クラスとの取引は
あるという人は相当程度いる可能性があります。
そこで,もしSFコーポも一斉通知をすると,それをきっかけに
ほかの業者の過払いに気づく人も相当程度出てくる可能性があります。
報道によると,最近は大手業者に対する過払い請求が減ってきているとのことです。
実際,その影響か,過払い回収の交渉において,
大手業者が以前より提示条件がよくなってきている気がします。
そんな中でのSFコーポレーションの破産ですので,
少し意外でした。
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8月 25th, 2011
先日、車のバッテリーが上がりました。
どうも、バッテリーが上がりやすい車のようで、
2年前にも上がって、バッテリーを交換したのですが、
また、あがってしまいました。
バッテリーがあがっても、今は色々サービスがあるので、
電話一本で、引取りに来てくれて便利です。
でも、バッテリーについては、苦い苦い思い出があります。
高校生の頃、原付に乗っていました。
ヤマハのキュートという、スクーターです。
当時はスクーター花盛りの時代で、色々性能のよい
のもありましたが、とても地味で遅いスクーターでした。
でも、遅いだけならよいのですが、何故か、
バッテリーが充電されないという欠陥を抱えていました。
家庭用の充電器で、しっかり充電すればしばらく
使えるのですが、だんだん、残りがなくなって、
そのうち、セルモーターが回らなくなって、
エンジンを掛けられなくなります。
本当なら、エンジンが回っている間、
バッテリーが充電されるはずなのですが、
充電されないのです。
バッテリーを交換しても改善しません。
また、バッテリーがあがっても、エンジンがまわっていれば、
ライトはつくので、発電装置が壊れているわけでもなかった気がします。
原因は良く分かりませんが、結局直りませんでした。
その結果、ふと遠出して、エンジンを掛けようとすると、
かからないということが何度となくありました。
また、エンジンが回っていても、信号停車中に、
アイドリングが不安定になって、パタとエンジンが止まり、
再度かけることができなくなる。ということもありました。
それが、怖くて、いつも信号待ちではふかし気味にしてました。
エンジンが止まって、動かなくなったため、2時間くらい
スクーターを押して家まで帰ったことが何度かあった気がします。
途中のガソリンスタンドで頼めば、エンジンを掛けてくれるの
でしょうが、内気でなかなか頼めず、
これだけひどい目にあっても、頑張って押していれば、
いつか、いいこともあるはずだ、なんてブツブツ考えながら、
スクーターを押して、歩いていきました。
そんなせいで、しばらくはバッテリー上がりトラウマで、
バイクを買う場合も必ずキックがついているものにし、
車も始めた買った車は、いざというときに、押しがけができる
マニュアル車でした。
でも、その後は、 さすがにそういう目に会うこともなく
現在に至っています。
我慢して、ブツブツ歩いていた成果かもしれません。
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8月 18th, 2011
裁判所には、場所による管轄があります。
裁判の当事者と、無関係な場所で裁判はできないルールです。
基本的には、相手の住所の場所を管轄する裁判所になりますが、
訴える側の住所でできる場合も多くあります。
管轄の違うところで裁判をしようとしても、管轄違いと言って
本来の裁判所に移されてしまうことが通常です。
そんなわけですから、管轄がどこかは大切です。
さて、当事務所の主事務所は二俣川にあり、横浜市の旭区、
瀬谷区のほか、泉区の方も多く相談に見えます。
その横浜市泉区の、簡易裁判所の管轄は、なんと鎌倉簡易裁判所なのです。
泉区の住民の一部は、横浜市営地下鉄の沿線ですので、そちらの方にとっては
戸塚から鎌倉に行くことは、まあ許容範囲かもしれません。
でも、泉区の住民の多くは、相鉄線の沿線に住んでいます。
相鉄線の沿線から、鎌倉と言ったら、かなり遠いです。
ちなみに、横浜地方裁判所本庁管轄内には5つの簡易裁判所があります。
泉区の弥生台駅から、各簡易裁判所の近くの駅に行く時間は
藤沢簡易裁判所(藤沢駅) 25分(電車17分+徒歩8分)
神奈川簡易裁判所(東神奈川駅)29分(電車24分+徒歩5分)
横浜簡易裁判所(日本大通り駅)32分(電車30分+徒歩2分)
保土ヶ谷簡易裁判所(星川駅)35分(電車17分+徒歩18分)
鎌倉簡易裁判所(鎌倉駅)45分(電車32分 +徒歩13分)
(とりあえず近くの駅に10時につく場合として、乗り換え検索サービスで調査)
(徒歩はグーグルマップでの徒歩ルートでの時間)
と総時間でも電車の時間でも一番遠いのです。
本来は近くの場所を管轄の裁判所にするという当然のことが
逆の状況になっています。
なぜ、こうなっているかと言うと、現状は合理性がないのですが、
歴史的な合理性があります。
つまり、泉区はもともと戸塚区が分裂してできた区です。
戸塚区のメインは横須賀線の沿線ですから、鎌倉は遠くありません。
そして、戸塚区から泉区が行政の問題で分割されたとき、
裁判所はきちんと対応を考えずに、機械的に旧戸塚区を
鎌倉簡裁の管轄にしたものと思われます。
簡易裁判所は額が小さい事件が多く、弁護士に依頼せず、自分で裁判所に
行くことが多い場所です。そういう意味では、管轄の便利さは、より重視されるべきです。
そして、そのような苦情は、たくさん簡易裁判所の受付段階では言われているのだと
思いますが、その声は、全く上のほうには上がっていないようです。
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