今年読んだ本2023
12月 22nd, 2023今年の半ばあたりから講談社の商法につられた感はあります。なんとなく興味がありそうな見出しをクリックすると、実は本の宣伝。なんとなく読んでしまう。次の本を探すのがうまくいかないことも多い中、結果としてなかなか面白い本も多かったので、よい宣伝なのだろうと思います。
「香り」の科学 匂いの正体からその効能まで 昨年は理系の本は読んでなかったなというところで。
人間の世界認識の基本は視覚が大きく次は聴覚。いずれも波の感知であり、電磁波なり空気なりの波長の違いを色なり音程なりで認識している。波長は数値による分析・理解と親和性が高い。
嗅覚は全く異なる。様々な化学物質があって、これらは個別的であり数値による分析には適さない。
仮に人間と同じだけの知性があって、ただ感覚器官が視覚・聴覚ではなく、嗅覚が中心だとしたら、空間・時間、それらを数学によって分析するという科学の発展はなく、全く違った形になっていたのではないか。
というのは本書の内容ではなく、個人的に嗅覚に興味を持っていた点です。
本書はあくまで「香り」だったのでニオイ全般についてではなかったので、上記の点について着想がすすむことはあまりなかったです。雑学知識的にはそこそこ面白いが、化学式が多め。
イーロン・マスク 未来を創る男
なかなか面白かったです。
Twitterの買収もまだゴタゴタしているようですが、これを読んだ後だと、立て直すどころか、よりすごいことを成し遂げてしまうような気もします。
物語 スコットランドの歴史 イギリスのなかにある「誇り高き国」
NetflixやAmazonPrimeでイギリスが舞台のものをみていたり、BBCを聞いていたりすると、もう少しイングランドだスコットランドだというあたりをしっかり理解したくなってきます。
イギリスについては島国なので多少日本に近いかも的な印象がありますが、こういうのを読むたびに、むしろ日本の特殊性が理解できます。
国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源
なぜ、裕福な国と貧困に苦しむ国があるのか。という主題。イギリス、アメリカ、大陸西欧、日本あたりをうまくいっている国として分類し、そうでない国と比べる。
面白かったのは、大陸西欧がうまくいったのはフランス革命でフランスがうまく行きだした後、ナポレオンが征服地域の既得権益層を根絶やしにして、新たな民主的秩序を植え付けたからとしている点。
日本の分析は日本人からするとおざなりにみえるけどだけど、このナポレオン征服の論理は東アジアの日本の征服地域が発展した理由にも当てはまるのでは?という気がしました(そんなことは絶対認めない人がいるのも承知ですが)。
NOISE 組織はなぜ判断を誤るのか?
前著のファーストアンドスローは、ここ10年で読んだ中では最高の本といえるので、大きな期待をもって読みました。
仕事上、気になっていた問題が主題ですし、それなりに面白かったです。が、ファーストアンドスロー程の内容の密度はありませんでした。
インド外交の流儀:先行き不透明な世界に向けた戦略
日経に出ていて興味が出て読んだ本。インドは重要国だが、自分の中でもイメージをつかむための情報が不足している感があったし。
マーハーバーラタの知識があることを前提に色々説明しているのが、ある意味驚異的でした。キリスト教文化圏、中国文化圏とは全く違った教養をもつ文化圏であることが印象的です。
未知なる人体への旅 自然界と体の不思議な関係
医者他様々な人生経験を有する著者によるエッセー。
エッセーではなく、もう少し知識系の本を期待したいたので、ややいまいちか。
イスラームの論理
イスラム教に坊さん・神父の類、つまり布教を職業とする人がいないというのは以前から知っていました。
この本で、ムハンマドの物語に奇跡はないということも知りました。
すごいですね。まあ、布教を職業とする人がいると、その便宜で奇跡の物語も必要となるのかもしれません。
日本人の感覚で宗教というと、仏教やキリスト教からの類推が多くなってしまうのですが、イスラム教は、ある種のまっとうさにおいてレベルが違うのだろうと思います。
また、イスラム教での神様はこわい神様のイメージがありました。この本の説明からすると、浄土真宗の阿弥陀様に近い雰囲気です。すがれば最後は救ってくれるような。
キリスト教の本質 「不在の神」はいかにして生まれたか
著者はキリスト教徒のようなのですが、そうとは思えない程、身も蓋もない話。
キリスト教の内容は多様であり、統一的に理解できるものはない。キリスト教の本質は、宗教をビジネスにしようと思う人が、そのビジネス上の必要に応じて様々なキリストの物語を紡ぎ出していって、結果として生き残っている教えである。
というような感じです。
人体最強の臓器 皮膚のふしぎ 最新科学でわかった万能性
久々に生物系の本。とても面白かった。
少し消えかけていた免疫系の知識の記憶喚起にもなったし。
仏教の歴史 いかにして世界宗教となったか
フランス人が書いた世界にひろがる仏教全体についての入門書。
日本人が仏教と言われた思い浮かべる諸々、お経、大仏、曼荼羅、禅問答なんてあたり。おそらく、仏教の創始者のゴータマシッダールタに聞いたら「・・・」。ということだろうと思います。そういう面で、日本の仏教がなんでこうなのか、とか、世界の他の仏教はどんなかんじなのか、なんてあたりは興味がありました。
そんなあたりのイメージが多少はつかめました。仏教というのはそんなもん的な感じでしょうか。
戦争プロパガンダ10の法則
昨今の不穏な世界情勢から、双方の立場から色々な情報が入ってくるのでなんとなく購入。
残虐行為が報道されてそれに基づいて色々動き出して、でも実はそんな残虐行為は存在していなかったといのは定番のようです。
オーディブル
今年は途中からオーディブルも少し利用。車の移動中になんとなく流しておくのにちょうどよい。逆にあまりしっかり聞かなくてもよい内容でないときつくて、買ったけど途中で断念も多数。まだ試行錯誤中。
忘れられた日本人
すごく面白かった。昔話を聞いている感じで、流し聞きや、繰り返し聞きによい。
一般的な日本人の道徳観だと思っているものが、だいぶ違うこともわかります。
ユダヤの商法
藤田田の名著。以前読みたいと思ったときは絶版になっていて、Kindleでは読めない状況だったが、いつの間にかオーディブルにもなっていた。内容は軽いので流し聞きでもストレスがない。