きつい訓練

9月 13th, 2016
超一流になるのは才能か努力か?

というなんとも凡庸なタイトルの本を読み進めています。
超一流レベルは,完全に練習量だ,なんていうのは概ね予想されたのですが,面白いなと思ったのはトップクラスのバイオリン奏者の調査ででてきた話です。
能力向上に役立ったと感じる練習は,非常に負担が大きくあまり楽しくないと感じていた
ということです。
練習が好きだから,たくさん練習したのではなく,いやできつい練習をたくさんしたのだ,ということです。
いわれてみると,以前にもつまらない練習ほど意味があるとか,聞いていた気もしますが,今回,思い当たることがありました。

私は,大学受験にしろ,司法試験にしろ,勉強時間自体は極端に短い時間で通ったのだろうと思っていますが,その勉強中はひたすらきついものでした。
30分もやるとへばって,それからダラダラと気力が回復するのを待つ。反吐がでるような,といってもよい感じです。
勉強楽しい,とか言っている人に負ける気はほとんどしていなかったのですが,つまり上記のバイオリンの練習の話と同じことなのだろうと思います。
本当に身になる訓練は,つまらないだけでなく,ひたすらきつい。

そう思うと,下手の横好きで色々やっていることが,いつまでたっても上達しない理由は,私が不器用なだけでなく,練習が結構楽しいからかもしれません。
楽しいなんて,間違ってもいいようがないような訓練こそ,能力向上には最も効率的なのでしょう。

自動運転どこまでいけるか

8月 9th, 2016
1年ほど前に,その時点で,もっとも進んでそうな自動運転的車を購入しましたが,その上での感想です。

法的整備が追いつけば,技術的には自動運転実現可能であるかのような話を,何度か耳にしたことがありましたが,実際には,そのレベルには遥かに遠いかな,と思います。

まず,現時点で,技術的に実現できそうなのは,緩いカーブのみが続く高速道路(たとえば第三京浜)であれば,自動運転は可能かなあと思います。
高速道路の合流が終わった時点でスイッチオンして,降りるべきインターが近づいたらスイッチ・オフする。その間は,自動運転というくらいは,もうひとおしでいけそうです。

でも,たとえば,ちょっとカーブが急になると認識が難しくなっています。確かに,映像としてカーブを進行方向から撮った場合,進行先やカーブの曲がり具合に関する情報は乏しいです。上からみるのとは大違いです。ですから,苦労するのもわからなくはありません。そして,この問題はアルゴリズムの進化やコンピュータの処理速度の高速化,ナビとの連動によって解決していくだろうと思います。
でも,このレベルのことでヒイヒイいっている状況では,一般道路で信号を認識したり,交差点を曲がったりなんて,とてもじゃないけど無理だろうと思います。
たとえば通信回路経由で交差点ごとの信号の状況を各クルマに一斉配信するくらいしないと,無理なんじゃないかという気がします。

なにより,自動運転に悲観的になるのは,コンピュータが適宜固まる点です。ごくまれとはいえ,ハンドル補助装置等が動いていませんなんていうエラー表示がでてしまって,一度エンジン切ってしばらくまって再度エンジンをかけるという,いわゆる再起動的なことをしないと復旧しないことがあります。コンピュータとしては,PCであれちょっとした機器類であれ,ごく当たり前の現象ですが,このようなものに自動運転を任せられないのは明らかです。

ということで,完全な自動運転までは,まだかなりの技術革新が必要だろうと思います。

とはいえ,現時点での半自動運転でも,長距離の高速道路運転に関しては「もう普通の車には戻れないかも」という程度には快適なので,普及は進んでいくだろうと思います。

憲法改正

7月 28th, 2016
参議院選挙の結果として憲法改正ということに現実味がでてきました。

いざ,国民投票となったときに,多少はしっかり考えをもてるように,諸外国の憲法でも勉強してみようかなという気になってきました。

憲法改正自体は,どんな改正でも反対という人もいるのかもしれませんが,どのような改正をするか次第ということで,賛否の意見も異なるのだろうと思います。

そして,その改正の意味自体,法律家がそれなりに冷静に説明してくことはその社会的な役割です。ただ,現状の弁護士会とか日弁連は政治性が強すぎて冷静な説明を期待することは困難と思われます。

自民党の憲法改正草案をみると,確かに今の憲法論を学んで来た法律家はギョッとするような内容もあります。でも,それがファシズムまっしぐらな内容なのか,諸外国の憲法にもある普通の条項なのかといったあたりについて感触をつかむことができたら,このブログの中で解説することができればと思っています。

感情偏差値

6月 22nd, 2016
人工知能の囲碁がかなり強くなったとのことで、
人間の仕事がなくなる、人工知能に支配される
等、色々な話がぶり返しています。
実際、人工知能が発達した場合どうなるかはわかりません。ただ、人工知能には無理そうなこと、を予測させる話があります。
別の本での「また読み」なのでやや不正確なのですが、ダマシオという方によると、
脳の一部が失われて感情を失ったが知能は失われていない人は、ほとんど何も決めることができなくなった
とのことです。
感情がなく徹底的に理性的な人は、分析はできても何も決めることができない、のかも。ということです。

人間が何かを合理的に決断するというのは、
合理的な分析の結果、結論がでるのではなく、
気分が高まってある種の結論がでて、それを合理化する理屈が生まれ、その上で合理的に結論を出した気になるということ,
かもしれません。
人から尊敬・同情を得たいとか(「そんな決断をした自分が好き」とか)、憎しみが高まって嫌がらせをしたいという感情がなければ、何も決められないのかもしれません。

そんなわけで、どんなに頭がよくても感情がない人工知能は,
何も決めることができない存在になるか、
人工知能内で適当にサイコロでもふってでた結論について、もっともらしく理由をつけて決断したようにふるまうしかなく、
結局、何かを決めるような作業はできないかもしれません。

機械が登場することによって、産業革命以前にはとても大事だった肉体的なパワフルさは人間の価値にとって重要性を失いました。代わりに、知能の高さが重要性を持ってきました。
人工知能が登場することによって、知能も肉体的なパワフルさと同じ運命になり、次に主役の座につくのは感情の強さになるかもしれません。

 

『男の離婚術』増刷です。

5月 31st, 2016
弁護士が男の側から書いた当事務所著の『男の離婚術』(講談社)が,増刷になり第二版がでています。

他の離婚に関する本にない内容が多く記載されています。
つまり当事務所の弁護士が色々調べ物をして書いたのではなく,当事務所の弁護士が自分の経験に基づいて書き上げた本です。

かなり頑張って作り上げた本です。多くの方が読んでくださっているようで,なによりです。

B型肝炎給付金 期限が延長されます。

5月 14th, 2016
B型肝炎給付金は,もともとは来年1月12日まででした。
期間の延長法案が国会で審議されていましたが,5月13日に参議院でも可決され,さらに5年間,延長されることになりました。

とはいえ,発症から20年経過してしまうと,金額が大幅に低くなってしまうこともありますので,早めに請求するにこしたことはありません。
ご自身が対象になる可能性がある方は,一度当事務所にご相談ください(電話相談可)。

 

apple pencil ホルダーはmagic tapeで

4月 18th, 2016
今まで,色々と手書きに対応したデジタルツールを試してきました。
15年近く前のザウルスからはじまって,最近ではシャープやソニーの電子ノートの類等。

ここにきて,ipadに専用のapple pencilが登場し,しかも9.7インチのipadでも使えるバージョンが発売されて,ほとんど妥協のない手書きツールが手に入りました。現在のところ,GoodNotesというアプリケーションで利用していますが,PDFへの書き込みもできるし,紙に手書きするより便利な機能もあるし,かなり満足しています。
ただし,一番の問題は,このapple pencilはipadにつけることができないということです。同じ悩みをかかえる人がいるようで,強引に下側につける器具も売っている(そして買ってみた)のですが,いまひとつです。
そこで,マジックテープの登場です。

applepencil magic tape

柔らかいほうをpencilに巻き付ける。
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チクチクするほうを本体に貼る。作業時間は10秒くらい?

 
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くっつけたところ

 
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美観的には,もう少し角のあたりをまるめたり,又は白いマジックテープを利用するなり,工夫の余地がありそうです。人によっては,いくら工夫しても許容範囲を超えている(特に,apple製品について深い愛情に基づいて人にみせてやりたい場合)ことはあるかもしれません。
でも,実用性は完璧に近いです。ほとんど,無意識に着脱できるし,カバンに無造作にいれておいても,はずれることはほとんどありません。

こういうのを利用するだけなので,同じお悩みをお持ちの方はどうぞ

 
 
 

富士山登山

4月 10th, 2016
高校2年生が富士山に登ろうとしたが救助要請とのことです。

思わず自分と重なって色々思い出しました。

実は,私も高校3年の9月に積雪した富士山に単独で登ってきたからです。

高校3年でいわゆる受験だったのですが,それまでまともに勉強習慣もなかった中,完全に毎日勉強するとへばるだろうと考えて,8日に1回の完全休養日(まったく勉強しない日)を作っていました。
で,8日に1回なので毎週休みになる曜日がずれていって,たまに日曜日が完全休養日になります。

このときの9月に日曜日が完全休養日になりました。
で,何をしようかと考えていたのですが,その年の正月に年賀状配達のバイトをして手に入れたマニュアルギア付の50ccバイクでどこかにいこうということまでは決まりました。

その中で,そういえば富士山にいってないなあ,富士山にでも行ってみようか。
いずれにしろメインはバイクツーリングですから,5合目まで行ければ,目的達成です。
あわよくば山頂という考えもありましたが,それはあくまで「あわよくば」で,もし5合目に来てどうしても登りたくなったときに必要な装備(雨具や防寒具,水筒,非常食等)は念のため持って行くことにしました。

で,当日,富士山に向かって,246をひた走る(原付なので高速は走れない)と,真っ白の富士山が現れます。えっもう雪が積もっている。前日までに把握した状況だと雪はないはずでしたが,どうやら初冠雪だったようです。その姿をみて,5合目であきらめようと腹を決めました。靴は運動靴でしたので,さすがに雪山は無理です。

さらにバイクで5合目に近づくとバイクの調子も悪くなります。あとで分かりましたが,酸欠だったようです。それでも,だましだまし,何とか5合目にたどり着きます。

みると雪があるといっても,数センチつもっているくらいで,道には雪はほとんどなさそうです。いけるところまでいくか。今日は天気はよいし,もし途中で道にもたっぷり雪がついていてこれ以上登れなければひきかえせばよい。はじめからあきらめたら,意気地のなさに後悔するに違いない。ということで,5合目から上を目指して歩き始めます。

で,多少のエイヤもありましたが,たしか2時間もかからずに山頂に到達しました。自分の冒険心に満足しながら,山頂剣が峰の富士山測候所に近づきます。ところが,測候所の上だか何かで外人が上半身裸で日光浴して寝っ転がっています。これにはさすがに驚きました。寒さに対する感覚が違うのか,この衝撃は未だに忘れられません。

そんなわけで,無事,家に戻ってきました。

なお,そんな私の感覚でも「さすがに4月は無理だろう」と思います。大学生の頃に5月にスキーをかついで富士山に登って滑り降りたことがありましたが,その頃は下からみるとほとんど雪がないようにみえますが,それでもかなり雪が残っています。

なにより私は高校では山岳部でしたので,高校生の中では登山経験が豊富でした。少なくとも本当に無謀な試みではなかったはずです。もっとも,翌日あたりに,山岳部の顧問から「勝俣,昨日,富士山にいなかったか」と突然言われて,「いるわけないじゃないですか」とごまかしました。当時,部として無届けの登山や単独登山は禁止ということになってましたので。しかし,なぜ,顧問も富士山にいたのか,偶然とはおそろしいものです。

今回が,どういった事情なのか知りませんが,富士山に無謀な挑戦をしてニュースになるのは外人ばかりだったので,少し「おっ」と思った次第です。でも,やはり4月は無謀だな。

「B型肝炎ウイルスキャリアですが,通院はしていません。でも,健康診断を受けているので(症状は無いので)大丈夫です」という方に言いたいこと。(後編)

4月 8th, 2016
前回の続きです。

健康診断を受けているから・症状が無いから,という方へ

前回書いたように,HBe抗原陰性の非活動性キャリア(すなわち症状が無い方)に,突然肝がんが発生するという事もあります。

確かに,症状が無い方と,慢性肝炎の方と,肝硬変の方を比べたら,肝硬変の方が最も肝がんの発生リスクは高いです。

しかし,実際には,肝硬変症に至る前に肝がんを発生する例は少なからずあり,特にB型肝炎ウイルスの場合には,正常に近い肝臓から肝がんが発生する場合もあり注意が必要とされています(参考文献2)。

実際に,私のお客様でも,肝硬変と診断されたことがない肝がんの患者さんが多くいらっしゃいます。
健康診断では,そのような肝がんが早期に発見されるとは,限らないのではないでしょうか。

また,症状がないから,という言葉には,とても心配にさせられます。
有名な言葉ですが,肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ,少々不具合が有っても症状が現れません。
症状があったら…たぶんそれは,慢性肝炎や軽度の肝硬変や,初期の肝がんでは無いような予感がしませんでしょうか。

専門医に通うと何をしてもらえるのか

血液検査(健康診断とは内容が一部異なります)に加え,肝がんの早期発見のため,腹部超音波検査を主体として,腫瘍マーカー測定や,場合によってはCT,MRI検査も行われることになると思われます(参考文献3)。
その結果として治療は不要だと判断されれば,特には薬が出ることも無いかと思います。

慢性肝炎の治療が必要と判断されると,多くは核酸アナログ製剤(特にエンテカビル)が投与されることになるかと思いますが,場合によりペグインターフェロンが用いられたリ,またそれらが併用されることもあります(参考文献2,4)。

なお治療が必要な場合には,治療費の助成についての案内が有ると思いますので,必ず申請をするようにして下さい。

いずれにしても,専門医が行う検査は,目的も,検査内容も,健康診断と違いそうなことをわかって頂けるとよいなと思います。

最後に

あまり怖いことを言うのも嫌ですし,実際多くの方は,何の症状が出ることも無く健康に過ごされています。
しかし,毎回毎回ちょっとうるさく言う事で,一人でも多くの方の肝がんを防げれば,言った甲斐があったなと思うのです。

ですので,私たちは症状が無い方の相談ももちろん受けます。でも,特に私に相談される方は,ちゃんと専門医療機関へ通院するようにして下さい。相談の際も,私は絶対これを言いますので。

もちろん私は,治療中の方からも,いろいろ治療のお話しを聞かせて頂くのが好きなので,お気軽にご相談いただきたいと思います。宜しくお願いします。



参考文献
1)沖田極・幕内雅敏編.2009.「インフォームドコンセントのための図説シリーズ 肝がん」医薬ジャーナル社.
2)熊田博光編.2012.「インフォームドコンセントのための図説シリーズ 肝炎ウイルス―B型・C型」医薬ジャーナル社.
3)日本肝臓学会編.2013.「肝癌診療ガイドライン 2013年版」<http://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/examination_jp>(2016/4/5アクセス)
4)日本肝臓学会編.2015.「B型肝炎治療ガイドライン(第2.1版)」
<http://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/hepatitis_b>(2016/4/5アクセス)

「B型肝炎ウイルスキャリアですが,通院はしていません。でも,健康診断を受けているので(症状は無いので)大丈夫です」という方に言いたいこと。(前編)

4月 6th, 2016
B型肝炎訴訟については,どの弁護士よりも掘り下げて考えたい柏木です。
表題のセリフは,症状のない方(無症候キャリアの方)と相談をすると,かなり高い確率で言われるものです。

弁護士の多くは,特に何も言わないかもしれませんし,中には症状が無いと報酬も低いので,依頼を断る人もいるなどと聞きますが,私が言いたい事はちょっと違います。
表題のセリフは,間違っていると思います。 
「肝疾患の専門医療機関に通院して,お医者様の指示に従って下さい。 (そしてそれから,給付金のことが気になったら私に聞いてください)」 
これが私が言いたいことなのですが,せっかくなので,もう少し説明をします。 
なお専門医療機関については,こちら等で,各都道府県毎の「肝疾患専門医療機関」をお調べ下さい。
肝炎情報センター
http://www.kanen.ncgm.go.jp/index.html
 
何のために通院するのか 
究極的には,肝がん(肝細胞がん)になるのを防ぐ,又は早期に発見することが目的だと思われます。
というのも,肝がんは大抵その発生原因が明らかであると言われており,その90%はC型肝炎ウイルスかB型肝炎ウイルスの持続感染が原因であると言われています(参考文献1)。

また,B型肝硬変からは年率1.2~8.1%で,慢性肝炎からは0.5~0.8%で,HBe抗原陰性の非活動性キャリアからは0.1~0.4%で肝がんが発生すると言われています(参考文献2)。

これをどうみるかは人それぞれかもしれませんが,間違いないのは,B型肝炎ウイルスキャリアの方は,それだけで肝がんになるリスクが高い集団に属しているという事なのです。 
(後編に続きます)

 
参考文献
1)沖田極・幕内雅敏編.2009.「インフォームドコンセントのための図説シリーズ 肝がん」医薬ジャーナル社.
2)熊田博光編.2012.「インフォームドコンセントのための図説シリーズ 肝炎ウイルス―B型・C型」医薬ジャーナル社.
3)日本肝臓学会編.2013.「肝癌診療ガイドライン 2013年版」<http://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/examination_jp>(2016/4/5アクセス)
4)日本肝臓学会編.2015.「B型肝炎治療ガイドライン(第2.1版)」
<http://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/hepatitis_b>(2016/4/5アクセス)