Archive for the ‘プロ野球(ヤクルトスワローズ)’ Category

なぜ今年のスワローズは弱いのか

日曜日, 7月 30th, 2023

今年は3連覇の期待がかかっていたはずですが、低迷しています。



で、頭の中は色々と原因を探しだして感情をも刺激します。



  • 昨年まで成功の一因とされていたゆとりローテーションを今年はなぜやらないのだろうか


  • 村上があれだけ不振であればしょうがない


  • 塩見や山田の故障がおおきい


  • マクガフの穴がおおきい


  • 中村や長岡が打たなすぎる


  • 昨年まで元気だった中継ぎ陣はどうなってしまったのか


まあ、いくでも出てきます。
でも、見方を変えると、



なぜ3年前最下位でたいした補強もしなかったのに2連覇したのだろうか?今年は3年前に戻っただけなのではないか?むしろ、不思議なのは強かった2年間なのではないか?
という気もします。



結局のところ人間の頭は原因と結果という因果関係という枠組みで物事を考えたがるのですが、現実はそのような枠組みで把握できないことが多いです。



「何が原因だ」「何が原因だ」「考えろ、考えろ」と頭は動いていて色々と原因を紡ぎ出します。が、冷めた見方をすれば「無数の原因が複雑に絡み合って出来事が発生している」としか言いようがありません。なので、「特定の原因を見つけ出して対処さえすれば事態は好転する」なんてことはないのです。



もちろん物事の中には、原因を見つけ出して対処することによって改善することも多くあります(「ネジが緩んでいたので締める」とか)。ただ、この手法が有効な分野と有効でない分野をうまく区別することも困難です。
歴史的・社会的出来事の大半は因果関係分析は有効でないです。「日本はなぜ、太平洋戦争に踏み込んだのか」「日本はなぜ、非白人国家のなかで先進国になれたのか」なんてことも、1つか2つの原因(前者であれば、軍部の暴走、財閥の陰謀、アメリカの陰謀、国民の熱狂等)を見つけ出してそれに基づいて説明したがりますが、実際は「無数の原因が複雑に絡み合って出来事が発生した」としかいいようがありません。
おそらく医学的・健康的出来事の大半もそうだと言えます。単純に原因となるバイキンを殺す薬をバイキンがいそうなところに対処してうまくいくことはあまりないです。この分野で、うまくいくのは「ネジが緩んでいたのを締める」レベルに落とし込める場合だけなのでは、という気さえします。



難しいのは、因果関係で考えるのは無意味だし、他に対処の方法もないから放置すればよいと、言い切れないところです。スワローズが今年弱いのは「無数の原因が複雑に絡み合って出来事が発生した」ので、色々考えることは無意味だ、という方針でいくのと、気難しい人からすれば無意味とはいえ、色々と原因を分析して対処するということを繰り返すという方針で行くのととでは、後者のほうが成果がでそうな気がします。



何にしろ、たいした出来事もないのに、極端に強くなったり弱くなったりするスワローズはなかなか、頭も刺激してくれます。

別のチーム?

月曜日, 6月 27th, 2022

スワローズがあまりにも強いです。
昨年の日本一も驚きました。今年はさらに強くなって,交流戦優勝して,セ・リーグをダントツで独走中。史上最速のマジック点灯か,なんてことになっています。



現状の強さの理由は,強力な救援投手と,勝負強い打撃陣です。



通常,救援陣は3人それなりに通用する人がいれば勝ちパターンが形成されて,他に大きな問題がなければチームもそれなりに強くなります。真中でリーグ優勝したときの外人3人組とか,去年の後半でいえば今野,清水,マクガフといったあたりです。ところが,今年のスワローズは,これが7,8人いる感じです。その結果,交流戦終了時点での救援防御率が1.85なんて書いてあります。つまり,勝っていようが負けていようが,6回以降からはリーグトップクラスのピッチャーが毎試合でてきているような感じです。6回以降は滅多に打たれないということになります。



これとは逆に,今年は打撃陣は相手の勝ちパターンを打ち崩しています。そのため8回あたりに逆転することが多い気がします。



その結果,5回終了時点で,ヤクルトが勝っていればそのまま救援陣が抑えて勝ち。同点なら,ヤクルトは点はとられない反面,ヤクルト打撃陣はどこかで点を取ってくる。ヤクルトが負けていても,ヤクルトは勝ちパターンではない中継ぎもほとんど打たれないので相手は追加点を奪えない。その間に,相手の勝ちパターンを打ち崩して結局勝ってしまう。
ということで,終わってみると勝っているということがとても多い。



ここのところ救援陣が結構打たれだしているので,この状況を続けられるわけではないでしょうが,いずれにしろ強いわけです(結局,村上が最後に勝たせてくれている)。



でも,正直言って,このチームはスワローズなんだろうか?という変な感じも受けます。最近,3回の優勝(若松,真中,高津)はいずれもギリギリの優勝でした。野村監督のときは,独走態勢になったこともあります。でも今年ほどではなかった気がします。正直,ここまで強い状況は未経験で,なにか変な感じです。「今日は勝たなくてもいいじゃない?」という気がしつつあるほどです。



おそらくはチームとしても,そのあたりが超えるべき壁になるかもしれません。この先,急失速して優勝を逃すとしたら,そのあたりなのでしょう。そして,それを乗り越えたときに,昔の西武みたいに勝って当たり前の状況にチームが慣れてきて本当に強いチームになるのだろうと思います。
でも,その常勝チームになったスワローズを応援できるんだろうか?なんて気もするのも確かです。
とはいえ,野村監督就任の報を聞いたときは,「勝たなくてもよいから,小うるさい野球はやめてくれ」なんて思いましたが,退任ときは「野村監督,ありがとう」という気持ちになってました。
スワローズファンとして,新たなゾーンに突入できるのか?そんなあたりを楽しみにしたいと思います。

日本一の理由

月曜日, 11月 29th, 2021
ヤクルトスワローズ,日本一です。
びっくりです。さすがに,コアなファンでも今年の日本一は予測できなかったのではないかと思います。
2年間ビリで,しかもセリーグはほとんどパリーグに勝てていない。圧倒的に弱いセリーグの最下位球団が,たいした補強もせずにシーズンに入ったんですから。

でも,本当にそんなに強かったのでしょうか。確かに,昨年までよりはだいぶ強くなったのだろうと思います。
でも,阪神とはゲーム差なしですから,ヤクルトが勝ったのはタマタマな気がします。
日本シリーズでも,ほとんど接戦だったので,オリックスに買ったのもタマタマの気がします。6年前に,ヤクルトがソフトバンクに負けた時は,このあと何度やっても勝てない気がしましたが,そういうことではない気がします。

では,チームの順位はどの程度タマタマなのでしょうか?
株の取引きの類は,ほとんど偶然でいくら知識を工夫して取引しても偶然の域をでないと言われているようです。その調査方法の一つは,たとえば2005年から2007年の3年間の取引き成績(前期)と,2008年から2010年の取引き成績(後期)成績にどれだけ関係があるかを調べます。その間に,どの程度相関があるのか。取引成績に能力による差が出るのであれば,前期で取引成績がよかった人は,後期も大方よいはずです。これが,プロ野球の打者の成績であれば,ある3年間活躍した選手はその3年間ろくに活躍できなかった選手より,次の3年間も活躍する可能性があるという関係がみられるでしょう。ところが,株の取引にはそのような関係はなく,ほぼ完全にランダムだったということのようです。
昨年までは,それまで強かったチームが,そのあとも強いのはある程度当たり前だったはすです。ところが,ヤクルトもオリックスも2年連続最下位だったのが,突如優勝です。このようなことがあると,チームの順位についても偶然性の影が強くなってきます。無難に評論すれば,「チームの実力差が縮まってきている」ということなのでしょう。

で,監督の能力という部分でいうと,高津はこのようなことをわかっていて実行できる稀有な人だろうと思います。
現役時代,2試合連続で緩い球を狙い打たれて逆転負けしても,次の試合でまた緩い球で勝負できる。こういうことをできる抑え投手はほとんどいないと思います。2試合連続で撃たれたのはタマタマだから,今日もタマタマ打たれる可能性もあるけど打たれない可能性のほうが高い。だから緩い球で勝負する。ということができる。ある種,凡庸な防御率なのに,卓越したセーブ数を稼げたのはこの力あってのことです。

で日本シリーズ。2試合救援に失敗したマクガフをまたもや同点の場面で起用する。まさに,マクガフは現役時代の遅い球です。ファンを含めほとんどの人は「もうマクガフは使わんでくれ」と思うのですが,打たれたのはタマタマというところで,マクガフの起用を続けられる能力はすごみを感じます。

偶然の出来事の振り回されて,頭をめぐる理屈や講釈に騙されてしまっているのに,何か法則性をつかんだかのような気になってしまうのが人間の悲しい性です。この性を抑え込んで,偶然性を踏まえた判断をできる高津監督のもと,来年も頑張ってほしいと思います。

優勝の理由

金曜日, 10月 29th, 2021

ついにやりました!
ヤクルトスワローズ優勝です。
8月頃には随分強くなったなあ,と思ってましたが。まさか優勝するとは。
高津監督,選手の皆さん,ありがとうございました。



やはり,高津は監督として有能だと思ったんです。
なんといっても,選手時代,あれだけ打たれまくって,高津劇場と揶揄されながら,リリーフエースの立場を守り続けた。失敗を翌日にひきずらずに,翌日にベストを尽くす能力は監督としても如何なく発揮されました。
また,日本野球やメジャーだけでなく,韓国,台湾,BCリーグを渡りあるいた苦労人的経験も生きているのでしょう。さらに・・・・
ネット上でも,なぜ高津監督はよかったのか,他球団の監督と比較する記事が色々出ています。



でも,ちょっと待てよ。と多くのヤクルトファンは思うはずです。
高田監督途中退任後,監督代行として劇的快進撃をみせ,翌年もほぼ優勝しかけた小川淳二監督。
何がすごいのか,というところで本も出ました。
奉仕するリーダーシップ 小川淳司監督はヤクルトに何をしたのか



でも,その後の低迷ぶりはご存じのとおり。
その2年連続最下位のあと,今度は劇的な優勝に導いた真中満監督
これまた,真中の何がすごいのかを記した本も出してます。
できない理由を探すな!―スワローズ真中流「つばめ革命」 でも,その後5位,6位(このときは球団ワースト96敗)と低迷。



そうなると,監督のやり口云々の話は,眉唾の気がしてきます。
では,優勝の原因は?
今年はけが人が出なかったから?けが人が出なかったのはタマタマか?誰かの功績か?
尾花コーチ?二軍で復活した人はともかく,ずっと一軍にいる人は無関係では?
昨オフ,頑張って山田,小川,石山を引き留めたから?3人ともいなかったら優勝できないかもしれないけど,3人ともビリの昨年にいた人。
最近ようやくドラフト1位が戦力になりだしている。ドラフト1位の活躍分だけは意味あるかも。
6位6位1位5位6位2位6位6位という流れからすれば,今年の大躍進はおおかた予想できた?
ということで,関係ありそうな要因を挙げろと言われればいくらでも,挙げることはできそうですが,その数が増えれば増えるほど,優勝の原因はなんだかわらかなくなってきます。



結局のところ,出来事に原因なんてものはないのですが,人間の思考回路がどうしても(できれば単一の)原因を求めてしまって,その結果,このようなことになるのだろうと思います。
とはいえ「優勝は無数の要因の相互作用によって引き起こされた」とかいっても,完全に興味を失ってしまいます。どこかでひっかかりながらも,「○○が原因で,優勝だ!」と説明するのが楽しいのです。



今回も,野村監督云々もたくさん出てきます。野村さんも,ヤクルトではうまくいったのですが,その後は,それほどうまくいったわけではありません。でも,野球の様々な場面について,人間が説明を渇望している部分を,とてもうまく説明しました。



いまだに多くの人が野村IDを語る理由もこういったあたりにあるのだろうと思います。



戻ってきたエース

火曜日, 8月 31st, 2021

ここ何年も野球はさっぱり見なくなりました。
勝ってるなと思ってテレビをつけると、あっという間に逆転されるというジンクスが、あまりにも執拗に続いたためです。ここまで続くと、野球のテレビをつけるということが、忌まわしい記憶と結びついて、避けるようになります(CSで目的のチャンネルを探すのが異様に困難なことも一因ですが)。
とはいえ、経過や結果は気になるので、ちょくちょくネットで様子をみています。



今年はスワローズは頑張っています。オフでフリーエジェント3人を必死に食い止めたり、田口を取ったりと普段よりは頑張ったのが効いたのでしょうか?
いや、何割かのファンは、ある特定の原因、ずっと待っていてようやく実現できたある原因に思い当っているはずです。



スワローズは、ここ何十年か、打撃コーチに恵まれてきました。伊勢さんや杉村さんが、日本人をうまく育て、外人をうまく適応させました。打者については、まず心配ないレベルどころか、おそらく他球団がうらやむレベルを維持できていたことが多いです。青木(通算打率歴代1位)、バレンティン(本塁打日本記録)、山田(唯一のトリプルスリー3回達成)、村上(様々な最年少記録塗り替え中)が同時期にプレーしていたというだけでも、びっくりです(これで弱いのが、さらにびっくりですが)。
ところが投手については、特にここのところの低迷期に目立ちますが、どうにもなっていないです。
あまりも投手がダメなのは、捕手のリードのせいの気もしましたが、捕手が変わっても、ほとんど光が見えません。
やはり、伊勢さんや杉村さんに匹敵する名投手コーチが必要なのは明らかです。



とはいえ、誰を連れてくればといっても、最近は少し枠を外しているとはいえ、コーチも基本はヤクルトOBになるだけにに、なかなか難しいところです。
ところが、実はすごいのがいるんです。元ヤクルトのエース尾花高夫です。
野村ヤクルトの前の低迷期のエースです。球速は遅いのですが、抜群のコントロールとテンポのよさで、ほどほど抑えていました。記憶だと、ツースリーピッチャーとか説明していた解説者がいました。しょっちゅうツースリー(今でいうスリーツー)になるのです。イメージとしては、ボールが3つになるまでは、ストライクゾーンから半分だけはずれたところに投げて、スリーボールになったら、半分だけ内側に入れる。というような芸当です。
尾花が本領を発揮するのは、引退後です。
ロッテ 6位5位5位→尾花就任→2位5位
ヤクルト 1位1位4位→尾花就任→1位4位
ダイエー(ソフトバンク) 6位4位3位→尾花就任→1位1位2位2位1位2位2位
巨人 3位3位5位→尾花就任→4位1位1位1位
たいてい防御率を劇的に改善して、チームを強豪に押し上げます。
ところが、このあと某球団の監督に就任して、結果を出せず、なんとなく目立たなくなってしまいました(実際には強い原巨人を支えていた)。



で、だんだん巨人でも一線をはずれている感があったので、一定割合のヤクルトファンとしては飼い殺しにせずに早くヤクルトに返してくれと思っていたはずです。



そして、ついに今年から復帰です。今は2軍で投手コーチです。さて、尾花コーチは健在か。うまくすれば、最近の中では最大の補強になるかも。と期待していました。
いや。びっくりです。昨年までぴりっとしなかった連中が、2軍から上がってくると見違えるようになってます。そして、劇的に防御率が改善し、これから首位攻防戦という、ここ何年かの低迷ぶりからしたら想像もつかない状況です。
まあ、最終的にシーズンがどうなるかはわかりませんが、私がテレビをつけたとたんに投手が滅多打ちになるようなことがなくなり、いずれは野球のテレビ観戦を楽しめる日が再び来ることを期待しています。





エースと4番

火曜日, 9月 17th, 2019

スワローズの館山と畠山が引退するとのことです。
ここ30年の歴史の中でのエースと4番の引退ともいえます。



館山はエースと呼ばれることはなかったと思います。せいぜい,石川との対比で「右のエース」という程度の扱いです。
私は松岡弘の全盛期は知りません。それを前提にしたうえで,館山はもっともエースと呼ばれるにふさわしい投手だったと思います。
尾花や石井一久もエースと呼ばれるにふさわしい投手だったと思います。ただ,3シーズンなり4シーズンにわたって,「今日は〇〇だからまず負けないだろう」という安心感があったピッチャーは館山だけです。
調子がよければ2塁を踏ませないし,ちょっと調子が悪くても投球術を駆使しながらその日に使える球種を見極めて0点に抑える。かなり調子が悪くても,勝ち越し点を許さないギリギリのところで踏ん張る。
目立ったタイトルは2009年の最多勝だけです。ただ,それ以外のシーズンも,安定した投球を続けていました。ただ,この時期,抑えが 林昌勇 で,館山同様右の横手投げでタイプが近かったせいか,館山先発時によく撃ち込まれた,ということもあっていまいち勝ち星が伸び切らなかったという面もあります。
2008年勝率一位,2010年完封数と無四球完投数一位,2011年完封数と完封数一位というあたりから,エースっぷりがわかります。
地味でしたが,いまのヤクルトの現状からすると,こういうエースが欲しいです。



畠山も地味です。バレンティンや山田と時期が重なっているだけに目立ちません。
過去のヤクルトに,外国人選手でしたら素晴らしい4番バッターは何人もいます。でも,日本人となると,(古田も1997年に4番を打って日本一になりましたが),やはり広沢か畠山か,ということになります。
広沢はリーグ連覇のときの4番です。畠山があらわれるまでは,ヤクルトの4番といえば広沢と思ってました。とはいえ,広沢は,(巨人に行ってしまったし)結構たよりない感じがつきまとっていました。
畠山も,頼りない雰囲気があります。ところが,畠山の活躍期間において,畠山の活躍とチームの状況がほぼ一致しています。
2010年高田監督途中退任後の快進撃のとき,その翌年の優勝目前までいったとき,中心にいたのは畠山でした。真中監督で優勝したときも4番は畠山です。
よいときの畠山の特徴は,殊勲打,つまり同点打,逆転打,勝越打が多いことです。点差が開いてどうでもよいところでは打たないが,ここ一番で打点を挙げます。
2011年はリーグ4位の28殊勲打,2012年はリーグ7位の20殊勲打,2015年はリーグ2位の30殊勲打です。
殊勲打が出る状況は,相手のピッチャーは,先発か,勝ちパターンの救援になりますので,好投手に強いということです。
名目上の成績はともあれ,4番にふさわしい選手でした。



そんなわけでエースと4番の引退となったヤクルトですが,現状を立て直すには,なかなか課題が多そうです。

2位

火曜日, 10月 9th, 2018
今年のスワローズは,よく頑張り最終的に2位になりました。
昨年の崩壊ぶりをみると,これ以上ない結果だと思います。
広島には,壊滅的に弱いので(広島との勝敗が逆転していれば,ヤクルトが広島の立場にいたはず)CSは期待しにくいですが,今年は十二分頑張ったと思います。

さて,スワローズはここのところ,監督が代わると強くなるということを繰り返しています。

若松(4位)→古田(3位)
古田(6位)→高田(5位)
あたりはたいしたことないのですが,
高田途中解任(13勝32敗)→小川代行(59勝36敗)
小川(6位)→真中(1位)
真中(6位)→小川(2位)
と,ここ3回程の交代は劇的な効果を生んでいます。

そうすると,誰であれ監督が交代することに意味があるのではないか等と,監督交代がチームを強くする理由を色々と考えて作り出したくなります。
さらに,企業経営においても,一定の交代は効果的なのではないか云々と応用したくなります。

でも,最近はこのようなことに騙されないように心がけています。
他チームをみれば,必ずしも監督交代が奏功するとは限らないことはわかります。仮にスワローズで監督交代によって強くなったのが偶然でないとしても,スワローズで監督交代に効果がみられた特殊要因を特定できなければ,あまり意味もありません。

人間が色々と主張する一家言の類,経営論であったり,人間論であったりは,このスワローズの監督交代のような状況から思いついたものが大半だろうと思います。
どうしても印象的な出来事から法則をつかみたくなり,その法則を応用したくなってしまう。
しかも野球での他チームの成績のように冷静に考えるべき材料がないので,余計に自分の編み出した理屈に自信を深めていってしまうのだろうと思います。

理屈っぽい私の頭の中は,人一倍,このような理屈の作り出しに精を出しているような気がします。
野球のことで屁理屈を編み出すのは遊びとして楽しいのですが,事務所運営上は自分の屁理屈に騙されないよう気を付けていきます。

来期にむけて

水曜日, 11月 29th, 2017
スワローズの再起に向けて,このオフは色々とやっています。

小川さんの監督復帰については,正直,「えっ」と思いました。
ただ,いきなり監督として宮本にチーム再建を期待するのは酷でしょうし,
少し前までの長期にわたるベイスターズの監督を考えると,有能そうな外部招聘がうまくいくとも限らず
と考えると,まあこんなもんかなと思います。

何と言っても,今回は久々にヤクルト未経験の外部コーチを2名も入れました。
その点では,危機意識がみえ,期待が持てます。

打撃は広島からの2人のコーチとして,
投手は,理想としては,(外部招聘ではないとはいえ),尾花の復帰だったと思います。
田畑コーチがどうでるのか未知数ですが,今までのヤクルトに強い刺激を期待したいです。

打撃面では若い選手の芽が出てきていると思うので,コーチ陣とうまくかみあえば,期待できると思います。
基本的には,強いチームの主力は20代ということでしょうから,前回優勝時のレギュラー陣を一掃する活躍を期待したいです。
ここ10年,畠山が4番にいれば強い。そうでなければ弱いという状況でした。
新たな時代はどうなるか楽しみです。

ただ,投手は・・・。今年はあまりテレビでもみていなかったのですが,いまいち芽を見つけることができていません。
ほとんど実績がない20代前半の選手の中から10勝クラスの投手を3人は育てる必要があると思うのですが。

とはいえ,猛練習からきっと何かが生まれると思うので,来期には期待したいと思います。

 

低迷

水曜日, 7月 12th, 2017
久しぶりにスワローズネタです。

どうにもならないくらい低迷しています。
が,実を言うと一昨年に一瞬優勝したので目がくらんでいますが,その前は2年連続最下位なので,長いこと低迷が続いているというのが正確なところだと思います。
その原因も個人的は明らかだと思っていて,2年連続最下位のあたりで,その原因に思い当たっていたのですが,思わず優勝したので自分の考えが誤っていたのだと思いました。
でも,一瞬の優勝があっただけで,やはり駄目なようです。

で,その原因は監督だとか,投手力だとかそういった問題ではなくて,スタッフ全体の人事政策だと思います。
低迷期開始あたりから,スワローズのコーチや監督はほぼすべて(完全にすべてかも)ヤクルト元選手です。
ヤクルトと無縁でも能力のあるコーチを連れてくる気は全く無いようです。
つまるところ完全に発想が内向きで,これはおそらくコーチ,スカウト,渉外担当,健康管理等のありとあらゆるスタッフがこのような考えをもとに職務に配転されているのだろうと思います。
低迷の表面的な原因の第一は,若い選手が全く育っていないことです。ここ何年かのドラフト1位で戦力になったといえるような選手は2010年の山田哲人以来いません。この年だってクジがあっていたらハンカチ王子が入団して戦力にならなかったと思いますので,その前だと2007年の由規ですので,それ以来10年にわたって戦力になっていないことになります(野手であればレギュラー,先発投手であればせめて1年でも10勝あたりを基準)。つまり,スカウトが全く機能していないのは明らかです。
そして,ドラフト2位以下の選手,特に高卒の選手を丁寧に育て上げる育成能力も全く機能していません。これも,山田中村以来2軍でじっくり育てて一人前になったような選手は出てきていません。概ね,1年目にパッと僅かに活躍仕掛けて,その後見なくなるという状況が何年も続いています。2軍コーチに育成能力がないことは明らかです。
次の原因は,怪我が多すぎること。この原因はよくわかりませんが,少なくとも内輪の論理を優先して,怪我を抜本的になくすためにやらなくてはならない,誰が嫌がる人事が行われていないのだろうと推測されます。

というところで,このあたりに大鉈を振るうようなことをしない限り,監督を高津や宮本や古田にしたところで変わらないだろうと思います。
むしろ,監督を外部から連れてきたほうが,何人かは外様のコーチもはいるだろうから,少しは期待がもてる気がします。

ヤクルトのぬるま湯な人事政策は,私は好ましいと思っています。野球選手とはいえ,ヤクルトに入団した選手は選手をやめてからもそれなりに考えてもらえているようなので,とてもよいと思います。でも,本当を言えば野村ヤクルト時代の選手のように,準レギュラークラスでもコーチとして他球団から引っ張りだこになるような状況こそが理想だろうと思います。
また,素質ある選手がまともな育成もなされず,なんとか育っても怪我をしやすい環境で野球をせざるを得ないというのはどうみてもよくありません。
元ヤクルト選手の生活保障という点では大事にしてほしいのですが,ある程度は野球の現場以外の仕事をしてもらって,野球の現場には波風を立てるが有能な外様をもっと多く入れてほしいと思います。

タレブ流野球論

日曜日, 3月 27th, 2016
以前から作ってみたかったシミュレーターをエクセルで作ってみました。

3分の1の確率でヒットを打つ好打者の打率は.333です。
でも,安定的に3回に1回ヒットを打つわけではなく,試合ごとに3打数3安打だったり,4打数無安打だったりします。4打数無安打だったりすると,今日は調子が悪かったとかいいますし,2試合続けてそういう状況だと不振の兆候とみられたりします。

でも,完全に偶然なサイコロだって,その程度のむらはあります。1から6の目が均一にでるのではなく,3ばかり続くこともあります。サイコロの調子がよかったり悪かったりするわけではなく,偶然のムラというのはそういうものです。

ということで,サイコロで1か2の目が出たらヒット,4から6の目がでたらアウトとして,大数の法則が働く程の超大量打席だと打率.333に収まる打者を想定します。そして,シーズン500打数程度にしたときに,ほぼ.333におさまるのか,かなりムラがでるのかは,サイコロをふって調べていけばわかります。

でも,サイコロ振ってメモをとるのも面倒なので,こういうことをシュミレートできる(当然,打率は.333以外も設定できる)簡単なプログラムを作ってみました。

シュミレート1
理論打率.300のバッターに500打数で10シーズンとりくんでもらうと
.250~.260 1シーズン
.260~.270 1シーズン
.280~.290 1シーズン
.300~.310 2シーズン
.300~.320 3シーズン
.330~.340  1シーズン
.350~.360  1シーズン
となりました(なお,もう一度プログラムを走らせると結果は変わります)。よい感じにムラができています。
つまり,500打席程度だと,完全に偶然のムラでも上記程度のばらつきが出るということです。
3割5分打ったバッターが翌年2割6分になれば,調子を落としただ,研究されて通用されなくなった,怪我の影響だとか色々と評論家もファンもいいますが,完全に偶然のムラでもこの程度の差はでるということです(ですから,ヤクルトの雄平の一昨年と昨年の成績の差も,ただの偶然の可能性が十分あります)。

仮にシーズンが1万打数あるとすると
シュミレート2
.290~.300 7シーズン
.300~.310 3シーズン
となり,理論上の打率3割周辺にまとまります。大数の法則により偶然のムラが大数の法則にしたがってなくなるということです。1万打席ある状況で打率3割5分から2割6分に落ちたら,偶然の影響ではなくてやはり調子を落としたなりなんなりの理由があるということです。

では昨年の首位打者,ヤクルトの川端が開幕から1ヶ月間,打率1割台に苦しんだとしたら偶然でしょうか,理由がありそうでしょうか?
理論打率.310の打者が80打数打つという想定で100回シュミレートすると
打率1割代になるのは2回だけでした。そうなると偶然というよりは,何か理由があるとみたほうがよいかもしれません。ただ,100回というのは,15シーズン分つまり現役生活分程度の数字ですが,現役生活中に2回くらいは偶然だけが理由でその程度の不振に苦しんでもおかしくないことになります。

では,打率4割の達成は本当に難しいのでしょうか?
通算打率でみるとトップでも.320です。でも通算打率は晩年の能力低下で多少下がりますので,ここで思い切って理論打率.330の打者に登場してもらいます。
毎シーズン500打数として1000シーズンがんばってもらいましたが,最高でも3割9分代が1回あるだけで,4割には一度も届きませんでした。やはり4割はかなり難しいようです。

というわけで,野球は数字が色々でて,それに基づいて色々と理屈を述べるのが楽しいですが,そのような理屈はデタラメのことも多くありそうです。打率が低いバッターを我慢して使っていると「監督に気に入られているから」なんて考えたくもなります。でも「打撃練習でふれているから」なんていう現場感覚に基づいた起用というのも合理性があるのかもしれません。