岸田首相 Web3サービス利用拡大に言及
岸田首相が、所信表明演説でweb3サービス利用拡大に言及したとのことです。
さてどうなるか、楽しみなところです。
ブロックチェーン関係についての態度については、中国のように拒否する方向もあれば、米国のように比較的緩やかな方向もあり、国によって色々です。
私は、Web3の方向はとても面白いと思うので日本が推進方向に行くことはうれしい限りです。
ただ、実際うまくいくかというと、なかなか難しいだろうと思っています。
金融庁は不適切では?
まず、推進するのであれば、暗号資産取引所の金融庁の所管を取り上げる必要があるのでは、と思います。
金融庁が暗号資産取引所を管理する限り、暗号資産を投資商品としてとらえ、過度に投機的なものは消費者保護の観点から禁止すべき、という観点から離れるのは困難です。その結果、現状、Web3サービスを利用するのに不可欠なネイティブトークンの入手が困難な状況が生まれてしまっています。
日本人がWeb3サービスを容易に利用できるようにするためには、利用に必須のネイティブトークを容易に入手できるようにする必要があります。
暗号資産取引所が扱うべき資産を決めるにあたっては、投機的かどうかという金融商品を扱う視点ではなく、Web3サービスを利用するために便利かが重要です。この観点からすると、金融庁所管では適切な判断は困難と思われます。
ガラパゴス化の危険
また、今回のWeb3を拡大する意図としては、日本発のキャラクター等をNFT化することで世界的に収益機会を求めるようなことがあるようです。
ただ、正直、日本の現状では、そのようなストーリーはイメージが湧きにくいです。日本の既存のIT企業がプライベートなネットワーク上で日本人相手にNFTを販売するというのが関の山で、そこから世界へ拡大する道はほとんど開かれてはいなさそうです。
仮に日本初のNFTアートを世界へ、というのであれば世界中の人が使うプラットフォームでNFTアートを販売する必要がある。ところが、日本人はネイティブトークンの入手が困難で、そのプラットフォームを利用できないから、日本人に売ることからスタートすることができず、いきなり海外市場を相手にする必要がある。そうなると、どうみても海外勢が有利。
日本の既存のIT企業としては、Web3の拡大は収益基盤を損なうことから、自らのWeb3事業の拡大にあわせた形で国内のWeb3事業が拡大することを望んでいて、政府への影響も強い。ただ、これに乗る限り、世界で戦える余地はなさそう。
なんて感じです。
自己責任特区へ
いずれにしろ、消費者保護とか権利者保護、とか保護がどうのといっていると駄目なのだろうと思います。
Web3的世界が一定段階が進んだときは、各国の国内法の適用はほとんど意味がなくなるだろうと思います。ある種の自己責任と、参加者の一定のモラルとルールによって成り立つ世界です。
中国等がブロックチェーンの世界に厳しい態度を取るのは、これが見えているからだろうと思います。この問題に対して中途半端な姿勢は難しいです。
なので、Web3の推進をするのであれば、ブロックチェーン関係の世界は自己責任特区として、国内法の適用は考えないというくらいの姿勢を示すことが肝要なのだろうと思います。