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日本一の理由

月曜日, 11月 29th, 2021
ヤクルトスワローズ,日本一です。
びっくりです。さすがに,コアなファンでも今年の日本一は予測できなかったのではないかと思います。
2年間ビリで,しかもセリーグはほとんどパリーグに勝てていない。圧倒的に弱いセリーグの最下位球団が,たいした補強もせずにシーズンに入ったんですから。

でも,本当にそんなに強かったのでしょうか。確かに,昨年までよりはだいぶ強くなったのだろうと思います。
でも,阪神とはゲーム差なしですから,ヤクルトが勝ったのはタマタマな気がします。
日本シリーズでも,ほとんど接戦だったので,オリックスに買ったのもタマタマの気がします。6年前に,ヤクルトがソフトバンクに負けた時は,このあと何度やっても勝てない気がしましたが,そういうことではない気がします。

では,チームの順位はどの程度タマタマなのでしょうか?
株の取引きの類は,ほとんど偶然でいくら知識を工夫して取引しても偶然の域をでないと言われているようです。その調査方法の一つは,たとえば2005年から2007年の3年間の取引き成績(前期)と,2008年から2010年の取引き成績(後期)成績にどれだけ関係があるかを調べます。その間に,どの程度相関があるのか。取引成績に能力による差が出るのであれば,前期で取引成績がよかった人は,後期も大方よいはずです。これが,プロ野球の打者の成績であれば,ある3年間活躍した選手はその3年間ろくに活躍できなかった選手より,次の3年間も活躍する可能性があるという関係がみられるでしょう。ところが,株の取引にはそのような関係はなく,ほぼ完全にランダムだったということのようです。
昨年までは,それまで強かったチームが,そのあとも強いのはある程度当たり前だったはすです。ところが,ヤクルトもオリックスも2年連続最下位だったのが,突如優勝です。このようなことがあると,チームの順位についても偶然性の影が強くなってきます。無難に評論すれば,「チームの実力差が縮まってきている」ということなのでしょう。

で,監督の能力という部分でいうと,高津はこのようなことをわかっていて実行できる稀有な人だろうと思います。
現役時代,2試合連続で緩い球を狙い打たれて逆転負けしても,次の試合でまた緩い球で勝負できる。こういうことをできる抑え投手はほとんどいないと思います。2試合連続で撃たれたのはタマタマだから,今日もタマタマ打たれる可能性もあるけど打たれない可能性のほうが高い。だから緩い球で勝負する。ということができる。ある種,凡庸な防御率なのに,卓越したセーブ数を稼げたのはこの力あってのことです。

で日本シリーズ。2試合救援に失敗したマクガフをまたもや同点の場面で起用する。まさに,マクガフは現役時代の遅い球です。ファンを含めほとんどの人は「もうマクガフは使わんでくれ」と思うのですが,打たれたのはタマタマというところで,マクガフの起用を続けられる能力はすごみを感じます。

偶然の出来事の振り回されて,頭をめぐる理屈や講釈に騙されてしまっているのに,何か法則性をつかんだかのような気になってしまうのが人間の悲しい性です。この性を抑え込んで,偶然性を踏まえた判断をできる高津監督のもと,来年も頑張ってほしいと思います。