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裁判のIT化

金曜日, 5月 31st, 2019
裁判所がこれから10年で大きく変わりそうです。

法曹界は,いまだにFAXが主要な連絡手段という状況ですが,大幅に変わりそうです。
とはいえ,弁護士の抵抗によって骨抜きになってしまわないよう裁判所には頑張ってもらいたいと思います。

裁判所も現状は,調停にIPADを持ち込んだら文句を言う調停委員がいたり,少し遠めの裁判所で電話会議を求めると「その距離では来てもらっています」とおっしゃったり,IT化の方向性にそぐわない態度が散見されますが,最高裁の意向があれば概ねスムーズに移行すると思います。

弁護士は逆らうことも仕事のうちです。それはそれでよい方向に行くこともあるのですが,おそらく裁判のIT化では自分の学習意欲のなさや変化嫌いに屁理屈をつけて抵抗することが予測されます。
当事務所では,弁護士の業務内容の分析をしていますが,大きな割合を占めるのは移動時間です。最終的にはこの移動時間相当のコストを依頼者が負担していることになります。人一人を拘束することのコストは大きなものです。タクシーの料金を考えればわかると思います。
裁判のIT化がうまくいって弁護士業務に占める移動時間が大幅に圧縮されることによるメリットは大きいといえます。

いずれはペーパーレスになるようですが,一番気になるのは委任状の扱いです。
訴状は電子的に申請しても,委任状は郵送なんて馬鹿な運用が定着するのも困りものです。
でも,どこかのサイトにアクセスして,そこで特定の弁護士への委任を登録するということの実現には,マイナンバーによる電子申請の普及が必要だろうと思います。現状のマイナンバーの状況からすると,どうなんだろうと思います。

とはいえ,委任について委任状に押印不要という社会的状況になってくれば,諸々の法律上の重要文書に押印ということもなくなってくる気がします。電子的な契約書のサービスの試みもありますが,正直,メールやチャットのやりとりさえ残っていれば,契約の成立の立証に不足はない気がします(例えば「添付ファイルの内容の契約書でよいですか」返信「OKです」というやりとり)。ですから,一定の重要な契約書には電子的な契約書の認証は必要かもしれませんが,基本的には紙の契約書的発想の名残のような気もします。

いずれにしろ今後10年,20年で法律実務は大きく変わりそうな気がしますので楽しみです。