速読

速読という技術があります。
はたして,1分間で本1冊とか,そういうことが可能なのかはよく分かりません。
私はできませんし,出来る人をみたこともありません。

でも,できたらすごいなあ,ということは昔から思っていて,
中学生の頃から何度か,それができるという本を買ってきて訓練に挑戦したことがあります。
でも,たいてい集中力を高める訓練というあたりで挫折して,そのままです。
その後も,本を読んでいる際に,ふと速読を挑戦してみますが,結局身につかないままです。

ただ,東京大学だったり,司法研修所だったりと,人間の中でも事務処理能力が高い人が集まっている世界,その世界に入るためには速読能力があればかなり有利と思われる世界で,速読を身につけている人に全く出会わなかったということは,やはり,トンデモ本の類なのかなあ,と思います。

それでも,1分間に1冊というレベルではないにしろ,普通の速度よりははるかに速い速度で,ただし理解の程度は普通よりも劣る程度で,という技術は,ビジネス書を読んでいると存在しているのかも,という気がします。

さて,世の中コンピュータ・人工知能・ロボットの発達がどんどん進みそうです。いくつもの仕事がなくなると言われています。
弁護士の仕事自体はなくならない可能性が高い,とはいえ,個々の弁護士の仕事の中身のうちいくつかは,コンピュータに任せた方が合理的ということになりそうです。

弁護士の事務処理的な仕事のうちで大きな部分をしめるのが文書の作成作業です。文章にこだわりのある弁護士も多いですし,依頼者も自分の言い分をまとまった書面に作成する部分で弁護士に期待するところが大きいようです。
ただ,この部分はかなりコンピューターにとって代わられるのではないかと思います。乱雑な文章をまとめて読みやすくする技術等は,自動翻訳等の技術と重なる部分が多いと思いますが,このあたりはアメリカ等のITの天才達が興味とエネルギーを注いでいるものと思われます。音声認識の技術も一昔前とは違いかなり制度が高いので,打ち合わせ内容を録音しておけば,あとは書面が自動で作成されるという状況は容易に想像できます。パソコンの日本語入力システムや,プログラムのヘルプの要領悪さの現状からすると,結局駄目かも知れませんが,20年程度の間に実現する可能性は半分程度あるのではないかと思います。

逆に,文章化された内容を把握するという部分のコンピュータ化はなかなか難しいと思います。頭に微弱電流でも流して,文章の内容を記憶させるなんてこともいずれは可能になるかも知れませんが,文章自動化にくらべるとSF感はだいぶ強い気がします。
簡単に文章を作れるようになると,読まなければならない文章は増えると思います。現状でも,パソコン普及前に比べると,依頼者が書いてくれる文章,相手方弁護士が書いてくる文章いずれもかなり長大化している気がします。これがさらにすごいことになる可能性があります。

となると,今後のIT化をみすえて,身につけるべき能力として,何らかの速読能力が重要なのではないかという気がしてきます。

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