無効になる契約

前回,「万引きをする」というような違法な約束は無効になると書きました。
違法というのは,万引きのように犯罪になる場合だけでなく,
民事の規定上,無効になる場合もあります。
たいていは,弱者保護という観点から決められています。

契約自由と言って,基本的にはどんな約束をしようが自由で
約束した以上は,国家権力が約束を守らせるという
ルールなのですが,強い立場の人が弱い立場の人に
一方的に不利な契約を押しつけて,
ひどい目に会う人が出てきてしまう場合があります。
そこで,あらかじめ,こういう約束は無効だよと決めておいてあります。

典型的なのは利息の上限です。
契約自由の建前からすれば,10日で2割というような
高額の利息の約束でも守らなければなりません。

そして,お金に困っている人は,思わず目の前のお金欲しさ
にそのような高額の利息の約束をしてしまいがちです。

そこで,利息制限法という法律で,利息の上限を決めて,
高額の利息の約束をしても無効ということにしています。
つまり,利息制限法を超える高利の約束をしても,
裁判所はそんな金利は認めませんということです。

なお,10日で2割というような法外な高利は,
そもそもまともな貸し付けでないとして,元金の返済義務
がなくなることもあります。
そのほかにも,借地借家法や消費者契約法で
弱者を保護するために,借家人や消費者側に不利な
一定の約束は無効になるようになっています。

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